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被災の能登「御陣乗太鼓」を支援 東大寺と薬師寺で奉納演奏、募金呼びかけ

産経ニュース 2024年10月2日 10時31分

能登半島地震で被災した石川県輪島市名舟町に伝わる伝統芸能「御陣乗(ごじんじょ)太鼓」(同県無形民俗文化財)の保存会が6日に東大寺(奈良市)、8日に薬師寺(同市)で奉納演奏する。復興支援の一環として両寺が計画し、当日は参拝者らに太鼓継承のための募金を呼びかける。同町は先月の豪雨でも被害を受けており、奥能登で育まれた伝統に対する支援の輪を広げたい考えだ。

御陣乗太鼓は打ち手が夜叉(やしゃ)や幽霊、爺などの面をつけて動き回りながら太鼓を打ち鳴らし、テンポが速いために独特の迫力がある。戦国武将、上杉謙信の軍勢が攻めてきた際に村人が面をかぶり、太鼓を打ち鳴らして夜襲を掛け追い払ったという伝承が由来だ。

これまで国内外で公演してきたが、日本海に面した名舟町は今年1月の地震で大きな被害を受けた。保存会のメンバーらも離れた地に避難。しばらくは稽古もできなかったが、2月には活動を再開し、現在17人のうち2人が金沢市にいるほかは名舟に戻っているという。

今回の奉納演奏は同県珠洲市の神社などの復興を支援する薬師寺執事長の大谷徹奘さんが提案したのがきっかけといい、大谷さんは「大学生のときに御陣乗太鼓の演奏を聞いて感動した。応援したい」と語る。

奈良はメンバー6人が訪問し、6日は午後1時半から約20分、東大寺中門前で太鼓を演奏する。同日午後3時からは近くの奈良春日野国際フォーラム甍(いらか)でNPO法人テロワールが行う復興支援チャリティーイベントでも演奏。8日は午後2時から薬師寺食堂北面十字廊跡で、午後7時から同寺食堂内で演奏する。

保存会事務局長の槌谷博之さんは「御陣乗太鼓を見たいと言ってくれる人が多く、元気に活動していることを全国にアピールしたい。能登の地震と水害のことは忘れないでいただきたい」と話している。

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