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来春退職予定の若手自衛官に猛アピール 札幌で合同説明会 企業や団体180社参加

産経ニュース 2024年7月10日 16時11分

民間企業の人材獲得策として、自衛隊退職予定者向けの合同企業説明会が注目されている。10日に札幌市内で行われた説明会には道内から180社・団体が出展。来年3月末に退職予定の任期制自衛隊員に自社の魅力や働き方などを猛アピールした。主催者は退職する自衛官のセカンドキャリア形成と企業側の人材獲得ニーズの両方につながるとして、今後も積極的なPRを進めるとしている。

厳しい訓練受けた若者に注目

合同企業説明会は自衛隊援護協会札幌支部の主催で毎年開催されている。新型コロナ禍に見舞われた令和3年以外は参加企業が増加傾向にあり、今回はサービスや運輸、建設、製造を中心に卸売、電気、警備業など昨年より44社多い180社が参加した。

退職予定の自衛官はほとんどが20代。来年3月の任期満了を前に就職先を探そうと、札幌市内や近郊の駐屯地に勤務する陸・海・空の若手自衛官88人が集まった。

参加した多くの企業が規律の厳しい自衛隊で教育を受けたり、訓練を経験したりしてきた若手人材に注目しており、近年の人手不足もあって採用意欲は旺盛。各企業ブースでは1回あたり30分程度で事業概要などを説明し、積極的に質問する隊員の姿も多かった。

説明会通じて約半数が採用に

4年前から任期制自衛官を採用しているという北広島市の物流会社「丸吉ロジ」は、自衛隊OBの若手社員がブースで業務内容を紹介。吉谷隆昭代表は「全社員の約1割が自衛隊出身者。安全が一番の職場環境なのでルールをしっかり守れる人材である部分は大きい。一般募集と合わせて今後も人材獲得を進めていく」と語った。

参加した隊員のほとんどは道内出身者で、多くが札幌など道央圏での就職を希望している。退職者の就職支援にあたる自衛隊札幌地方協力本部によると、説明会を契機に採用につながる割合は過去5年程度の平均で40~50%と高い。

栗田昌彦本部長は「自衛隊員は厳しい訓練を通じて責任感、実行力、チームワークという社会人としての基本的な資質を備えている」と強調。全国各地で同様の合同企業説明会が行われていることを踏まえ、「自衛官はチームで与えられた任務を実行する力も兼ね備えている。これが民間企業側が求める人材ニーズに合っている」とし、人材マッチングを進めるとともにセカンドキャリアでの活躍に期待感を示した。(坂本隆浩)

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