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茨城県行方市で「焼き芋サミット」200人参加、「冷やし」の是非まで〝熱く〟語り合う

産経ニュース 2025年2月10日 16時40分

近年、幅広い世代でブームとなっている〝焼き芋〟について、さまざまな立場の人たちが集まって熱く語り合うユニークなイベント「焼き芋サミット」(茨城県行方市など主催)が、同市の県鹿行生涯学習センターで開かれた。県内外から約200人が参加し、焼き芋に関する真剣な議論が交わされた。

全国有数のサツマイモの産地として知られる行方市では昨秋、市とJA、生産者らがさらなる認知度向上を目指すためのプロジェクトチームとして、非行政組織の「さつまいも課」を設立した。今回のサミットもその取り組みの一環だ。

ステージには、焼き芋を扱う各界の専門家が次々に登壇。地元のなめがたしおさい農業協同組合専務の金田富夫さんは「焼き芋の輸出」をテーマに、取り組みを紹介した。

東南アジアなど輸出急伸

平成15年からスーパー店内で焼き芋の販売を手がけてブームの火付け役となった同組合。28年からはさらなる販路拡大を目指し、焼き芋の原料となるサツマイモの海外への輸出に踏み切った。

現在はタイをはじめとする東南アジアやEU諸国、北米と取引先は広がり、令和5年度の輸出額は3億2700万円と2年度(1億5800万円)の倍以上に伸びた。

輸出当初、金田さんはマレーシアで行方産のサツマイモが捨てられているのを発見。相手から「脂で汚れている」と言われたが、金田さんは「これは〝ヤラピン〟というサツマイモに含まれている成分で、新鮮な証拠だ」などと説明し、商品棚へ戻してもらった。

金田さんは「いくらよい芋でもちゃんと現地へ出向き、情報を伝えないと評判はよくならない」との体験を語った。

イベント継続求める声も

最近、コンビニエンスストアや通販で扱われて人気の「冷やし焼き芋」がテーマのトークセッションも行われた。製造メーカーの関係者は、「普通のの焼き芋用に買いつけたが、小さすぎて出荷できないサツマイモの利用法として冷凍焼きイモを売り出した」という〝誕生秘話〟も披露した。

冷やし焼き芋は、「べにはるか」などねっとり感のある品種が主流。「昔懐かしい、ホクホク感のある焼き芋は冷やしで有り得るか」という話し合いでは、メーカー側から「冷やしでホクホクさせると、パサつきを感じてしまう」という否定的な意見が聞かれた。

サミットの継続を求める声も上がっている。

行方市のサツマイモ生産者の男性(66)は「こうしたイベントをきっかけに、焼き芋の販売業者と交流を持ちたい。業者はストレートにわれわれの作った芋の評価をしてくれるし、業者へ直接販売できれば自分で芋の価格も決められる」とサミットの定期的な開催を望んだ。(三浦馨)

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