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賃上げ影響? 「定年まで勤めたい」と望む学生が10年ぶりに半数超  就活リサーチ

産経ニュース 2025年2月12日 8時10分

若者を中心に転職が「当たり前」となりつつあるのに、来年春の就職を目指す大学生らに広がるのは「終身雇用」志向のようです。そんな安定志向を後押しするのは、初任給の引き上げや賃上げといった待遇改善など。好条件の就職がかなったら、手放さずに長く勤めたいと望んでいるようです。

今年1月、大学3年生と大学院生を対象に就職への意識を尋ねた調査では、「1つの会社に定年まで勤めたい」と考える学生の割合が10年ぶりに半数以上になりました。

一方で「転職などでキャリアアップを図りたい」と答えた学生の割合は32・6%。前年同時期の調査と比べると、10ポイント以上ダウンとなり、大幅に「転職志向」の低下が見られました。

転職の風潮に逆行

転職がさほど珍しくない風潮に逆行するような結果となったのは、2つの要因があると考えられます。

一つは、売り手市場の影響による新入社員の待遇改善です。人手不足を背景に企業が優秀な人材の確保にしのぎを削り、初任給の引き上げなどの待遇改善に取り組んでいます。充実した待遇が約束されている会社に長く勤めたくなるのは、自然な流れといえるでしょう。

もう一つの要因は、インターンシップやオープンカンパニーといった、事前の職場体験の普及です。

学生が望めば、就職活動を本格的に始める前から、企業の雰囲気や仕事内容について具体的なイメージをもてるようになりました。これにより、企業側と学生側とのミスマッチのリスクが低減。結果、学生が一つの会社で長期的にキャリアを積む姿を思い描けるようになってきたと考えられます。

挑戦志向も存在感

最近の学生は仕事だけでなく、家族や趣味などプライベートの時間も重視する傾向が顕著にみられます。

希望する勤務地や部署の選択が可能になる制度もあり、働き方の柔軟性が高まりました。職場でキャリアを積みながら、プライベートの充実を図ることができるようにと環境や制度を整える企業が増えています。

もちろん、すべての学生が安定を求めているというわけではありません。「転職などでキャリアアップを図りたい」と回答した学生と「いずれ独立・起業したい」と回答した学生を合わせると約4割。挑戦志向をもつ学生も依然として一定の存在感があります。

入社後に当初の自分の期待とは異なる状況になったり、社会情勢が変化したりする場合もあるでしょう。そんなときは将来の生活設計や自己実現を見据え、柔軟にキャリアを見直す姿勢が求められます。

自分の価値観や目標を軸にして、時代の変化に合わせて、自身のキャリアを形成していきましょう。(キャリタスリサーチ 吉田治)

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