Infoseek 楽天

住宅ローンの保険「団信」が充実 がんになったら返済免除、ペアローンで2人分の保障も なっトクマネー

産経ニュース 2024年7月17日 8時0分

住宅価格が高騰するなか、ローンはなるべく低金利に…と借り入れを検討している人は、視点を変え、ローンに付帯する「団体信用生命保険(団信)」の特約保障に着目してみよう。ローン契約者が死亡したりすると以降の返済が免除される保険だが、最近は「がん罹患(りかん)」や「就業不能」といった特約を加え、保障の対象が広がってきた。

団信は、ほとんどの金融機関が住宅ローン契約者に加入を要件付けている。基本的に、ローン契約者が死亡または高度障害状態(両目が完全に失明するなど)になった場合、以降の返済が免除され、ローン契約者の家族は残債の返済を、金融機関は貸し倒れを、それぞれ免れる。

さらに最近は、追加の特約で特定の病気にかかれば保障するプランが増えた。背景には、日本人の平均寿命が延び、病気を抱えながら生活を送る人が珍しくなくなったことがある。

がんの確定診断で全額免除の特約も

生命保険各社のプランで目立つのは「がん保障特約」。ローン契約者ががんにかかれば以降の返済が半額~全額免除される。最近は治療や手術を受ける前に、がんの確定診断が出れば保障されるプランが主流で、「がんになったら住宅ローン返済がなくなる」との安心感を得られる。

がんのほか脳卒中、急性心筋梗塞でも返済免除になる「三大疾病保障特約」、対象をさらに拡大した「八大疾病保障特約」、どんな病気でも入院して1年以上就業不能になれば返済免除になる「全疾病保障特約」などもニーズがある。

利用増えるペアローン、保障も拡大

共働き世帯の増加に伴い、夫婦がそれぞれローン契約者となる「ペアローン」の利用件数が増えていることを受け、注目が高まるのが通称「ペアローン団信」だ。

ペアローンを利用する夫婦のどちらかが死亡した場合、まとめて2人分の残債が全額免除される。6月からペイペイ銀行、7月からみずほ銀行が取り扱いを始めた。従来は銀行でペアローンを借りた夫婦のうち1人が死亡しても、返済免除は本人分に限られていた。

よく調べず契約し、後悔する人多く

ところがローン契約の時点で団信の特約に着目する人は少数派のようだ。カーディフ生命保険が令和5年9月、20~59歳の住宅購入経験者に、住宅ローン借入先を決めた理由を聞いたところ、「団信の保障内容」との答えは7・4%にとどまった。合わせて「住宅購入前や購入時にやっておけばよかったこと」を尋ねると、「団信の特約を付ければよかった」が40・4%で最多だった。

団信は住宅ローン契約に付帯するため、ローンと分けて選ぶことはできない。ファイナンシャルプランナーの竹下さくらさん(55)は「特約による保障が手厚い団信に入りたくても、住宅ローン借入先の金融機関で取り扱いがなければ加入できません」と語り、団信については金融機関選びの段階から情報収集するようにと促す。

ただし、特約が充実した団信ほどローン金利は高くなる傾向にあり、年0・1~0・3%程度上乗せされることが多い。竹下さんは「団信は健康でなければ入れないし、年齢制限もある」ことも注意点に挙げる。すでにローンを組んでいる人は、「団信のみの追加加入や中途解約はできないため、保障内容を変えるにはローンを借り換えるしかない」と話した。 (田中万紀)

この記事の関連ニュース