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東京都民の警察官に5氏決まる

産経ニュース 2024年7月24日 20時29分

都民の安全を守るため職務に励む警察官を表彰する第94回「都民の警察官」(産経新聞社など主催)の受章者が決定した。今回は、大島署生活安全課の中村和彦警部補(56)▽航空隊の川村久警部補(52)▽板橋署刑事課の佐々木一徳警部補(55)▽日野署日野橋駐在の伊豆本龍朗警部補(56)▽高尾署交通課の黒宮美穂子警部補(58)―の5氏が選ばれた。

選考では、警視庁が候補者8人を推薦し、委員が書類審査でこれまでの実績や人柄といった推薦の理由を基に最終的に5人を選出した。

委員らは、中村警部補や黒宮警部補について「後進の指導育成に貢献した」などと評価。川村警部補については「自ら航空機を操縦して任務を遂行し、災害発生時の救助活動にも功労があった」などと理由を示した。

また、佐々木警部補や伊豆本警部補については「凶悪事件など多種多様の難事件解決に尽力した」などとした。

表彰式は、8月21日午後1時から千代田区大手町のサンケイプラザで行われる。

大島署生活安全課 中村和彦(なかむら・かずひこ)警部補(56)

33年あまりの警察官人生のうち、長きにわたって少年事件を担当。暴走族の検挙、解体や、交流サイト(SNS)を利用して少女を狙うわいせつ事件の解決などに貢献し、若手捜査員の育成にも力を入れてきた。

少年事件課在任中の平成29年には、台東区のマンションの一室で女子高校生が殺害される事件が発生。本部や近隣の警察署から招集した約70人の捜査員を取りまとめて的確な初動捜査を行い、交際相手だった同級生の少年の迅速な検挙につなげた。

令和5年8月からは、都心の南約120キロに浮かぶ伊豆大島の大島署に異動し、防犯係長を務める。管内の団体と取り組む行事や農作業に積極的に参加し、特殊詐欺対策のために金融機関のATMに立ち寄ると、「係長、暑い中ご苦労さま」と声をかけられるなど、島民から頼りにされる存在となっている。島で始めた釣りでは3・5キロのアオリイカを釣り上げ、島民の間でも有名となった。

受章に際しては、「章をいただきありがたい。今後も一生懸命励んでいく」と決意を新たにした。

航空隊 川村久(かわむら・ひさし)警部補(52)

平成12年に航空隊に配属されてから、約25年間の警察人生の大半を隊にささげてきた。ヘリコプターの総飛行時間は7500時間を超えるベテラン操縦士だ。

「常に問題意識を持ち、研究心が旺盛」と、周囲の信頼は厚い。飛行訓練の指導に必要な国家資格を取得し、若手操縦士の育成や操縦技能の向上にも取り組む。さらに、通常、ヘリは地上の無線施設に沿ったコースで運航するのに対し、施設に左右されずに運航できる「RNAV航行許可」を、全国の警察航空隊で初めて取得。各地で講義するなど、活躍の場は全国に広がっている。

令和元年10月、台風19号が日本列島を縦断し、河川の氾濫などの被害を受けた福島県に派遣された。現場では、長年の鍛錬で身に付けたホバリング操縦の技術を駆使し、冠水した住宅のベランダから男女3人をつり上げて救助することができた。

受章を知った妻からは「すごいね」と言葉をかけてもらった。「自分が今までやってきたことが認められたのかな」と、喜びをかみしめている。

板橋署刑事課 佐々木一徳(ささき・かずのり)警部補(55)

窃盗犯から脅迫犯、中国人の強盗犯の捜査まで、事件の大きさにかかわらず徹底的に調べ上げ、解決に貢献してきた。36年を超える警察官人生の中で、22年ほど刑事部門に従事し、周囲からも「刑事のプロ」と信頼されている。

昭和62年11月に採用された後、経験してきた所属は立川署や目白署、渋谷署、第2機動捜査隊など多岐にわたる。

平成30年、評論家の自殺幇助(ほうじょ)事件では、幇助犯の1人の取り調べと遺族対応を担当。取り調べでは、犯行を認める供述を引き出した一方、遺族の対応も適切に行った。遺族からは「いろいろと誹謗(ひぼう)中傷もありましたが、親身に対応してもらいありがとうございました」と感謝の言葉もあったという。

部下への指導が熱心で的確というだけでなく、上司に対しても必要な意見を積極的に伝え、多くの職員からの人望も厚い。

今回の受章については「ただただ驚いた」とした上で、「長年やってきたからいただけたと思う。引き続き頑張っていきたい」と力を込めた。

日野署日野橋駐在 伊豆本龍朗(いずもと・たつろう)警部補(56)

昭和61年に警察官として採用され、警察学校卒業後37年間にわたって日野署で勤務。そのうち約29年間は駐在所勤務員を務める。

「住民第1主義」をモットーに住民の安心・安全を最優先に考えて行動し、長年にわたり構築された地域住民からの信頼も厚く、地元と警察の架け橋的な存在となっている。

初めて駐在所勤務となったのは平成7年だが、それ以降毎月1回を目標に、管内で発生した犯罪の特徴や被害防止方法などをまとめた手作りの新聞を発行。自ら調査し、事件事故マップを添付するなど、情報発信を続けて、住民からも好評を博しているという。強盗殺人未遂や車上狙い、連続放火など、数々の凶悪事件の犯人も検挙してきた。

剣道五段の実力者。趣味のゴルフもプロ級の腕前で、月に1回程度、職場の同僚や部下を誘ってコースを周り、係の結束力を高めている。

今回の受章には「まさかこんな章をもらえるとは思っていなかった。続けてきてよかった」と語った。

高尾署交通課 黒宮美穂子(くろみや・みほこ)警部補(58)

警察署や警視庁本部で違法駐車の取り締まりに多大な功績を挙げた。約38年の警察官人生のうち、約25年を交通部門にささげてきた。

駐車対策課では、違反金を納付しない違反者からの徴収を担当。納付を免れようとする悪質な未納者を粘り強く説得した。「放置駐車取締手引き」の作成にも参加し、警察学校や警察署からの要請を受けて、若手警察官に駐車取り締まりに関する法令や技能を指導するなど、後進の育成にも貢献した。

現在は署の交通課交通総務係長として、高齢者の横断事故を防止するための指導員や地域ボランティアらとともに交通安全の推進に取り組む。面倒見がよく、明るい性格で、女性職員のリーダー的存在になっているという。

職務に励むかたわら、旅行を趣味としている。年に一度、警察学校の同期と行く韓国旅行を楽しみにしているという。

「私だけの実績ではなく、皆さんのおかげ。ありがたい」。今回の受章についても明るく周囲への感謝を語った。

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