奈良大の学生たちが、県内で最も古い商店街とされる「奈良もちいどのセンター街」(奈良市)の店舗を対象にした防災アンケートを実施した。3分の2以上が「建物の耐震がされていない」と回答するなど、災害時の課題が浮かび上がった。
同センター街は昭和29年に協同組合を結成。近鉄奈良駅近くの好立地にあり、国内外から多くの観光客が訪れる。南海トラフ巨大地震などの大災害への備えも必要となることから、学生たちは今回、防災意識を高めてもらおうとアンケートを行うことにした。
アンケートは6月25日~7月9日に同大学社会学部総合社会学科の2年生6人が実施。センター街にある約80店舗のうち40店舗が協力した。
「避難場所を知っているか」の問いには、半数以上の23店舗が「はい」と回答。一方、「建物の耐震がされているか」に「はい」と答えたのは12店舗、「備蓄品があるか」に「はい」と答えたのは13店舗にとどまった。
また、最も知りたい情報について、「外国人観光客の誘導方法」と答えたのが19店舗、「観光客への対応の仕方」が18店舗となり、最近増えている外国人観光客を意識した回答が目立ったという。
学生たちはこうした結果を防災に関する心構えなどとあわせてパネルにまとめ、3日に行われた学園祭で発表。2年の堀真也さん(19)は「南海トラフ地震は奈良にも大きな被害を与える。いざというときに行動できるよう、学生の力で防災意識を広めていきたい」と話した。
奈良もちいどのセンター街で土産物店「絵図屋」を展開する明新社(奈良市)の営業部、松浦一葉さんは「奈良県はこれまでさほど地震の影響を受けておらず、私自身を含め、防災意識が低いことが分かった。商店街全体でこの結果を共有し、防災意識を高めたい」と意欲を示した。