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工作機械400点、貴重な蒸気機関車も 日本工業大学工業技術博物館 ■埼玉「館」巡り

産経ニュース 2024年7月20日 11時0分

大学の博物館ではあるが、学校関係者以外でも無料で利用できる。工業技術博物館の名称の通り、近代の日本の産業発展に貢献した工作機械などを展示。日本では1台しか現存してない「2100形」の蒸気機関車や、箱根登山鉄道で使われた電車「モハ1形-103号」もあり鉄道好きな人も楽しめる博物館だ。

博物館の入り口手前の右手にある保管庫にその蒸気機関車がある。同館によると、明治24年(1891)に英国のダブス社で製造され日本に輸入された「2100形-2109号」。2100形の登録順位番号は1号機が2100号なので、こちらがかなり初期のものとわかる。「スチブンソン式弁装置」を採用した蒸気気機関車の1つで「車輪回りがすっきりしている」(館員)と美しい姿が特徴。東北本線などで活躍後、大井川鉄道を経て、平成5年から同博物で31年間、動態保存している。

左手の屋外には、電車「モハ1形-103号」がある。大正8年に日本車輌製造株式会社で製造された木製車体を、昭和25年に半鋼製車体に改造した電車。自分は鋼製と思っていたので、塗装の剥がれている部分を「よく見てください」(館員)といわれ、その下地が木だったので、びっくりした。

体育館のような形の博物館に入る。来館者は館員に声をかければ説明してくれる。入り口付近に木造の復元町工場がある。明治40年に当時の東京市芝区に創業した機械部品製作会社「植原工場」だ。NHK連続テレビ小説「梅ちゃん先生」(平成24年放送)のロケに使われた。記者の実家が金型プレス会社なので、置いてある旋盤や形削り盤を見て懐かしく感じた。

さらに奥に進むと、国家プロジェクトで開発された巨大発電用ガスタービン「AGTJ-100A」(全長21メートル、出力10万キロワットの)がある。試作用のみで発電に使われたが、「発電の熱効率が当時の世界最高水準だった」(館員)。

明治38年に英国で製造された、機関車の車輪をメンテナンスする大きな車輪旋盤もあり、こちらも館員に要望すれば、実際に機械を動かしてくれる。

動態保存がモットーのこの博物館。蒸気機関車「2109号」の機関に火を入れて公開する日もあるので、同館のホームページを注視しよう。メカ好きにはたまらない「館」だった。

(昌林龍一)

■日本工業大学工業技術博物館 学園創立80周年を記念して、昭和62年に大学キャンパス内に開設。日本産業の発展に貢献した工作機械を中心に400点以上を展示。工作機械は約270台を所蔵し、うち約7割を動態保存している。歴史的価値の高い蒸気機関車や電車も展示している。

■アクセスガイド

埼玉県宮代町学園台4の1。東武線東武動物公園駅西口からスクールバスで5分(乗車前に利用券購入)、徒歩14分。東北自動車道久喜インターチェンジ(IC)、蓮田スマートIC(下り側)から約15分。圏央道幸手ICから約15分。駐車場あり(大型バス駐車可能)。休館日は、日曜、祝日、8月中旬~下旬、年末年始、大学入試日(展示の都合により臨時休館あり)。【問】0480・33・7545。

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