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「滋賀県産バナナ売り出したい」 東近江の若手農家の挑戦

産経ニュース 2024年7月5日 11時35分

滋賀県東近江市川合町に県内唯一のバナナ農家がいる。スーパーでみかける台湾やフィリピンなど比較的温暖な産地と違い、冬の寒さが厳しい地域。課題に直面しながらも「将来的には滋賀県産バナナとして売り出したい」と手探りで夢に向かっている。

栽培する上で最も気にかけているのは、ハウス内の温度管理だ。冬場は氷点下になることもあり、雪も積もる。温暖な地での栽培に向いているバナナには適地とは言い難い。毎年11月ごろから翌年3月ごろまで、ハウス内に暖房機で風を送り、室温を保つ。「温度管理に失敗すると全滅ですから」。

周囲のビニールハウスよりひと回り大きなハウスは高さ5メートル。バナナの背丈に合わせ生産者の農家、徳田淳さん(33)が自らつくったハウスだ。100平方メートルほどの広さがあり、現在4品種24株を栽培している。6月下旬には、こぶりでもっちりとした食感と甘みが特徴の「ドワーフナムワ」という品種が緑色の房をつけていた。

JA全農しがによると、県内のバナナ生産者は徳田さんだけという。

元々農協職員だったという徳田さんは、2年ほど前に農家に転身した。イチゴの生産の傍ら「どこでも売っているけど、だれも作っていないのでおもしろいなと思った」と他県の生産者から株を買い、バナナの生産を始めた。

農協職員として農業の知識は蓄えていたが、バナナの栽培は全くの未経験。徳田さんは「栽培はそう難しくない」と話すが、ときには1日で30センチも伸びる成長速度に驚かされることもあった。今でも他の生産者に聞いたり、論文を読んだりして情報収集するなど、手探りの日々が続く。

今年は60キロほどを収穫。一部を同県近江八幡市内の直売店に持ち込み初めて販売した。品種の希少性もあり、反応は上々だったという。

徳田さんは今後の課題に栽培の安定化を挙げる。その上で市場の反応を見ながら、栽培面積の拡大につなげたい考えだ。

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