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奈良市の観光客数は好調に回復も、経済効果は市外流出

産経ニュース 2024年9月3日 7時30分

奈良市は、令和5年の観光入り込み客数が1219万9千人で、前年を31・3%上回ったと発表した。新型コロナウイルス禍前の元年の約7割まで回復し、宿泊客数も前年比、元年比とも増で好調。ただ、経済波及効果は、観光消費額994億7千万円のうち約35%が市外の業者らへの支払いで、観光サービスを支える市内での産業の育成や支援が課題となりそうだ。

コロナの感染症法上の分類が5類相当に移行したほか、旅行代金を割り引く全国旅行支援が後押ししたとみられる。

日帰り客数は前年比32%増の1045万1千人で、元年比では33・3%減。一方、宿泊客数は174万8千人で、前年比で26・8%増、元年比では0・6%増だった。宿泊客数は1~12月の全月で前年同月を上回り、宿泊需要の底堅さを示した。

外国人観光客数は184万5千人。前年の約10倍に膨れ、インバウンド効果が顕著だったが、元年比では44・4%減と回復途中であることを示した。宿泊者の国籍別では中国が5万4千人でトップだったが、全体に占める割合は20・8%で元年を37・8ポイント下回った。中国政府による団体旅行の解禁が昨年8月まで遅れた影響とみられる。代わって米、台湾、仏などが急増した。

観光消費額は994億7千万円。ただ、経済波及効果の推計では、市外からの原材料購入やサービス料などを除いた直接効果が648億円とされ、差し引き346億円程度が市外へ支払われたとみられる。直接効果から波及する間接的な波及効果を合わせると、全体の経済波及効果は857億円だった。

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