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電車でも起きる〝バードストライク〟 北海道では絶滅危惧種オジロワシの主要事故

産経ニュース 2024年8月23日 12時39分

23日午前8時9分ごろ、東京都のJR中央線立川―日野間で快速電車が鳥と衝突した。フロントガラスにひびが入り、下り線の一部列車に遅れと運休が生じた。野鳥が人工物などに衝突して生じる損傷や事故「バードストライク」は主に航空機でみられるが、近年は鉄道での発生も珍しくない。北海道では天然記念物で絶滅危惧種に指定されているオジロワシの主要事故となっており、大きな問題となっている。

頻発する鳥と鉄道の衝突

鉄道のバードストライクは今年に入ってからも目立っている。

今月16日には、東北新幹線新花巻-盛岡間で、東京発新青森行きはやぶさ301号が鳥と衝突し、一時停止した。東北、秋田新幹線は上下12本が最大56分遅れる原因となった。

6月17日には、山陽新幹線相生-岡山間を走行していた東京発博多行のぞみ43号の運転士が異常音を聞き、岡山駅の手前で停車。ボンネットに血痕があり、通過後に線路脇からカラスの死骸が見つかった。

在来線では今回のJR中央線と同様の事故が頻発している。5月8日には、JR神戸線の西明石駅(兵庫県明石市)で、姫路発長浜行き上り新快速電車が鳥と接触し、フロントガラスにひびが入る事故が発生。3月28日にはJR武蔵野線東川口-南越谷間で、2月23日にはJR東海道線藤沢-大船間で、それぞれ走行中の電車がカラスとみられる鳥に衝突し、同じようにフロントガラスにひび入っている。

こうした事故増加の背景には、森林の減少による野生動物生息域の拡大や、鉄道車両の増加や速度の向上などが要因としてあるとされる。

北海道では〝死の連鎖〟

一方、北海道では国の天然記念物で絶滅危惧種のオジロワシとオオワシのバードストライクが問題となっている。

環境省釧路自然環境事務所が5月に公表した調査報告によると、令和5年度に事故や病気で収容されたオジロワシは51羽で、このうち列車事故が19件と最多となった。また、オオワシも収容された22羽のうち列車事故が10件と最も多く、それぞれ全体の3~4割が列車と衝突して死んだりけがをしていることが判明している。

猛禽類医学研究所(北海道釧路市)は、「オオワシやオジロワシが、列車にひかれて線路の近くに死んでいるエゾシカを夢中で食べているうちに逃げ遅れ、巻き込まれる例が多く見られる」と、動物の列車事故による〝死の連鎖〟が起きていると分析している。

こうした事態を受けて、JR北海道は衝突件数の多発する場所に柵を設置するなど動物の線路侵入防止の対策を進めている。だが、5度の北海道での列車とエゾシカとの衝突件数が3000件を超えて過去最多になるなど、対策の効果がなかなかみられない状況となっている。(西村利也)

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