インバウンド(訪日外国人客)が増加し、観光と住民生活の調和が模索される中、京都市が18歳以上の市民を対象に実施した意識調査では、大多数が観光地や公共交通機関などの混雑で迷惑したと回答した。京都市内は空前のにぎわいを見せるが、私道の通り抜けや、店と勘違いした外国人が突然、民家の中に入る迷惑行為も。住民側の不満は高まっている。
市の調査は昨年10~11月に行われ、約2500人が答えた。観光客らがもたらす影響を巡り、一部観光地や文化施設周辺の混雑で迷惑したかを尋ねたところ「とても当てはまる」が35・9%、「当てはまる」が30・5%だった。「どちらかというと当てはまる」(19・5%)を含めれば、8割以上が否定的にとらえていた。公共交通機関の混雑でも合計で8割以上が迷惑と回答した。
京都市に対し、観光客へのマナー啓発を望んだのは64・1%(複数回答可)に達し、前年の調査から約20ポイントも伸びた。親類や知人らに「京都観光をおすすめしたい」と答えたのは57・2%で、前年調査(68・9%)から10ポイント以上低下した。
近年では新型コロナウイルス禍を経てオーバーツーリズム(観光公害)が再燃し、一部では迷惑行為の横行が目立つようになった。
京都市東山区にある祇園地区のメインストリート、花見小路の周辺では、外国人とみられる観光客の私道通り抜けが問題に。花見小路は市道だが、一本入った狭い脇道は大半が私道だ。
周辺には観光施設とは関係ない一般住宅なども立ち並び、「外国人が店と間違えて家に入ってきた」との苦情を訴える住民もいた。このため地元協議会は今春、通り抜け禁止を告げる高札を設置し、違反者に罰金1万円を求める対策を取った。