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グリコ・森永事件 模倣犯登場し企業恐喝増加 警視庁150年 76/150

産経ニュース 2024年9月12日 7時0分

「けいさつの あほども え プロ やったら わしら つかまえてみ」

昭和59年3月、兵庫県西宮市で江崎グリコの社長が誘拐され、身代金を要求された事件が発端で始まった「グリコ・森永事件」。関西を中心に、青酸入りの菓子をスーパーに置くなどして企業への脅迫を繰り返していた「かい人21面相」は、59年12月、東京・銀座の大手菓子メーカー「不二家」に1億円を要求する脅迫状を送付するなど、東京でも犯行に及んだ。

かい人21面相は、60年8月に一方的に犯行終結を宣言したが、多くの模倣犯を生み出した。警視庁の内部文書によると、59年は電話・文書による恐喝・脅迫事件の認知件数は420件で、前年より64件も増えた。

59年5月には「東京コカ・コーラボトリング」(当時)本社に「毒物をコカ・コーラに入れた。現金5千万円を出せ」との脅迫電話があり、警視庁捜査1課特殊班が恐喝未遂容疑で42歳の男を逮捕。男は「グリコ事件にヒントを得た」と話し、都内で最初の模倣犯だったとされる。

特殊班は現金受け渡し場所に張り込んで車両の内偵捜査を進めるなど、摘発を続けた。当時を知る警視庁幹部は「(模倣犯は)借金がある年配者が一発逆転を狙ってやることが多かった」と振り返る。

摘発の成果もあり恐喝は収束したが、身近な菓子に毒が入っているかもしれないという恐怖心は日本中を震撼(しんかん)させた。警察が6都府県警で延べ約130万1000人の捜査員を投入したグリコ・森永事件は未解決のまま平成12年に時効が成立した。(前島沙紀)

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