千葉県柏市は、予定外の妊娠で悩んでいる女性らが気軽に相談でき、宿泊することも可能な窓口「にんしんSOSかしわ」を開設した。妊婦が出産後も安心して育児に励めるよう、専門のスタッフが一緒に生活しながら養育の助言など手厚くサポートする。利用は無料で、産後ケア事業を展開する同市の一般社団法人「ゆりかご」が運営する。
宿泊可能な妊娠相談窓口の開設は県内初。助産師や看護師、保育士、社会福祉士などの資格を持つ相談員が常駐し、食事の提供や、出産前後の心理的ケア、児童の養育に関するアドバイスなどを行う。相談者に寄り添って意思決定を助け、必要に応じて医療機関などにつなぐ。
予期せぬ妊娠や、頼れる親族がおらず不安や葛藤を抱える女性が対象。民家を改装し、最大2組の親子が産後3カ月程度まで宿泊することができる。通所での支援も受けられる。
市によると、昨年度の市への妊娠の届け出は約3000件。このうち、望まない妊娠は15件あった。特に若年妊婦は、精神の不調を訴えたり、妊婦健診を受けないまま出産に至るケースも相次いでおり、寄り添い方の支援を展開することで、育児放棄(ネグレクト)などを防ぐ。
相談の受付は日曜を除く週6日、午後1~9時。電話(070・5364・9627)かメール(yurikagosos.ksw@gmail.com)で申し込める。
太田和美市長は記者会見で「若年妊婦への支援策は全国的に不足している。安心して出産を迎える環境を一緒に整えたり、出産後の不安定な時にも赤ちゃんと安心して一緒に過ごせる居場所を提供し、将来を考える環境を用意した」と意義を述べた。(松崎翼)