家庭で不要となった日用品などを手入れして再生し、販売する茨城県日立市のアンティークショップが評判となっている。店長は、産業廃棄物などを扱う社の女性社長。個人宅の不用品の回収を手がけたのをきっかけに、「捨てるには惜しいものがたくさんある。だれかに使ってもらい、寿命を延ばしてあげたい」という思いから店を開いたとする。
3代目が新事業
このショップは、今年7月にオープンした「SALVAGE(サルベージ)」。経営者の桑原由佳さん(49)は、昭和31年に創業した産業廃棄物収集運搬業者「松原組」の3代目社長でもある。
松原組は母方の家業で、桑原さんは12年前、伯父から経営を引き継いだ。得意先の工場から排出される廃棄物の運搬が仕事の9割を占めたが、桑原さんは「特定の仕事だけでは限界がある」と判断。個人宅に目を向け、不要な家財や生活用品、遺品などを整理・回収する新しいビジネス「ねこの手 PLUS」を昨年6月に立ち上げた。
まだ使える不用品も
加えて、桑原さんの母親がアンティークショップを営み、自身も大学卒業後、県内のホームセンター系列のアンティークショップに就職。その後も母親の店を手伝っており、「家庭で出る不用品をアンティークとして再生できるのではないか」という思いもあった。
松原組は産業廃棄物に加えて一般廃棄物処理運搬業、古物商、金属くず商といった各種の許可を持っているのが強みで、新ビジネスは軌道に乗り始めた。回収された不用品には「まだ使えそう」「見る人によっては魅力的なのでは」と思われる品々も少なくなく、手入れをして新たな命を吹き込み、販売するサルベージをオープンさせた。
再生で新しい価値を
店内の棚には色とりどりのグラスなどが並び、レコードプレーヤー、トースター、タイプライターといったかつて一般家庭を彩った物品も目を引く。「人気があるのは食器類。基本的にリサイクル品なので、1千円以下のものが多いです」と桑原さん。
子供用の椅子、ベンチといった意外なものも売れる。「主婦の方たちが趣味で作った品物をイベントで販売するときの台代わりに使うようです」
店名のサルベージはもともと沈没船の救助を指すが、廃品の再生利用の意味も持つ。「不用品を再生し、新しい価値を与えてあげたい。捨てるのは簡単だけど、その前にだれかに使ってもらえれば、もの(不用品)も喜ぶかなという思いで店をやっています」
営業は月曜、火曜、土曜の週3日(午前11時~午後4時)。カフェも併設し、ランチ(1300円~)や、コーヒー(500円)なども楽しめる。問い合わせはサルベージ(0294・32・7704)。