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信号機のない横断歩道で6割超の車が一時停止せず 和歌山ワースト5位

産経ニュース 2024年11月21日 10時3分

JAF(日本自動車連盟)は、信号機のない横断歩道で歩行者が渡ろうとしている場面での車の一時停止率について令和6年の調査結果を公表した。和歌山県は36・2%で全国平均の53%を大きく下回り、ワースト5位となった。

県内の調査は、8月上旬の平日の午前10時から午後4時までに信号機のない横断歩道2カ所で実施。JAF職員が歩行者としてそれぞれ25往復、計100回の横断調査を行った。

その結果、全国ではワースト5位、関西では最下位という低い水準に。一方、一時停止率が高いのは、長野県(87・0%)や石川県(80・9%)で、8割を超えた。

道路交通法では、横断歩道は歩行者が優先で、「車両は横断しようとする通行者がいれば、一時停止させ通行者の妨げになってはいけない」ことなどが定められている。一方で、JAFが実施した平成28年の交通マナーに関するアンケートでは、「信号機のない横断歩道で歩行者がわたろうとしているのに一時停止しない車が多い」と思う人は86・2%に上り、JAFは実態を把握するため同年から調査を行っている。

一時停止率は、令和2年は和歌山県内で15・9%(全国21・3%)、5年は30・1%(同45・1%)と上昇傾向にある。ただ、全国平均を下回る状況が続いており、JAF和歌山支部の担当者は「まだ6割以上が停止していない結果となり、ドライバーへの呼びかけを継続していきたい」と話している。

信号機のない横断歩道での事故は、和歌山県内でも後を絶たない。

県警によると、信号機のない横断歩道やその付近で発生した車両との人身事故の件数は、令和元年に19件(死亡4人)、2年10件(同1人)、3年18件(同1人)、4年22件(同2人)、5年17件(同2人)。6年は10月末までで15件(同1人)に上る。

この状況に歯止めをかけようと、県と県警は令和4年7月から車に一時停止を促すための「サイン+サンクス運動」を実施している。

歩行者が横断歩道を渡ろうとする際に手を挙げ(サイン)、運転手に存在を知らせて停止した運転手に対して会釈などの感謝(サンクス)を伝える取り組みで、学校や企業などで広めている。

県が4年6月に行った調査では、手を挙げない場合の車の停止率が5%だったのに対して、手を挙げた場合の停止率は85%となったという。歩行者にとっては手を挙げて運転手とアイコンタクトする習慣が身につくとともに、運転手からすれば感謝をされることで、一時停止の習慣が定着することが期待される。

県警交通企画課は「毎年死亡事故を含めて一定の人身事故が起きている。運転手への認識を高めてもらうとともに、運動を通じて横断歩道での停止率を高め事故を減らしていきたい」としている。

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