奈良県立民俗博物館(同県大和郡山市)は31日まで、隣接する大和民俗公園内の旧鹿沼家住宅で、日中戦争~昭和20年代の資料を中心に展示する「戦時下のくらし―出征前夜」を開催している。
展示は戦地に赴く前日をテーマに構成され、軍服に身を包む長男や嘆き悲しむ母、たばこをふかし複雑な表情を思わせる父、出征を喜ぶ兄弟たちを人形で表現。人形を取り囲むように、「出征軍人の家」の表札や千人針、軍人手帳や記章を入れる奉公袋、巻き脚絆、出征旗、防空頭巾、紙製のたらい、陶器の水筒など当時の暮らしを想起させる生活用品約50点が並ぶ。
現在、同館は収蔵品の整理と老朽化した電気設備の改修のため休館中だが、同展を古民家の旧鹿沼家住宅で行うことで、戦時下の暮らしが、よりリアルに体感できる。石橋諒学芸員は「第二次世界大戦のさなかにあった約80年前の日本では、若者は戦地に送られ、庶民は貧しい暮らしを送っていた。多くの犠牲を払う戦争について、展示を通して感じてほしい」と話している。
無料。13、19、26日休館。問い合わせは同館(0743・53・3171)。