3連休最終日の13日の朝、あまりにも天気が良かったことから自宅の近所を散歩すると、雪を被った真っ白な富士山がくっきりと見えた。東京都世田谷区、渋谷区あたりから眺めたので、直線距離で100キロほどあるだろうか。前日までの曇天を一掃するようなクリアで力強い山景に心を奪われた。
自宅に戻ってカメラにズームレンズを装着し、自転車で富士山が見える場所を探しながら、撮影して巡ることにした。
私は静岡県の出身で、富士山は毎日見える身近な存在だった。特別な感情もなければ、登ったこともない。東京出身者にとっての東京タワーのようなものなのかもしれない。
ただ、年齢を重ねたことによる郷愁のせいか、ここ数年は富士山を「特別な山」と思うようになっている。東京からは、丹沢山系の山々に隠された麓は見えず、中腹から上の部分が見えるだけ。それでも何かのチカラを感じている。
小田急線世田谷代田駅周辺
人気テレビドラマ「サイレント」の聖地巡礼の一カ所になっている世田谷代田駅前からは、線路の先に富士山を見ることができる。
駅前には絶えず富士山の写真を撮る人の姿が見られた。午前は順光で青空に映えたが、夕刻になると空が赤く染まり、富士山はシルエットになった。
京王線幡ヶ谷駅周辺
京王線では良く知られた富士山撮影スポットとなっている歩道橋。4線の列車の往来が一望でき、その先に富士山がそびえ立っている。山肌や起伏まではっきりと確認できた。
京王線笹塚駅
駅前の商業ビルの屋外庭園から富士山を望んだ。高圧線に邪魔をされたが、ファインダー越しに富士山の白い頂を確認できた。
小田急線経堂駅
駅前の商業ビルのテラスからは、富士山を遮る建物がなく、見通しは抜群だった。午後からは青空に雲がかかってきた。
京王線明大前駅周辺
線路の高架化工事が進む明大前駅付近の踏切からも、富士山が見えた。日が落ちると、オレンジ色の空に山体が黒く浮かび上がった。
撮影を終えて帰宅後、自分のスマホを確認すると、総移動距離は7キロほど。富士山が見える位置を探して回った一日。心もカラダも健康になったような気がした。
14日朝も前日と同様に、美しい富士山がそびえ立っていた(鈴木健児)