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離島の高校生が世界のトヨタグループとタッグ 観光客誘致へナビアプリで独自情報を発信

産経ニュース 2024年11月15日 10時0分

瀬戸内海に浮かぶ松山市の離島、中島で地元高校生がトヨタグループのアイシン(愛知県)と連携して観光情報の発信に取り組んでいる。生徒らは自分たちの足で稼いだ情報を基に、グルメやキャンプなど目的別の6つの観光コースを考案、今月から同社が提供するナビアプリ「スマートバディ」上で公開を始めた。人口減少や過疎化に歯止めがかからない中、初めて島を訪れる人でも観光スポットや隠れた名所などを効率的に周遊できるようにすることで、観光客の誘致、地域活性化につなげるのが狙いだ。

客層に応じて

活動に取り組むのは、約2千人の住民が住む島内にある愛媛県立松山北高校中島分校の生徒。生徒数わずか約60人の同校は360度カメラの映像で島内のサイクリングコースを紹介するなど、島への観光客誘致に向けた取り組みを続けている。

今年度はカップルや家族連れ、友人同士など客層ごとに島の魅力を伝える観光コースの提案を企画。「総合的な探究」の一環として、2、3年の生徒19人が店舗の営業時間や移動にかかる時間を調べたり、観光スポットを調査したりなどした。

そんな中、愛媛大や松山市、民間企業などで構成する「SDGs推進協議会」の協力を受け、ICT(情報通信技術)などの新技術の導入で過疎化や産業の衰退といった離島が抱えるさまざまな課題解決につなげる「スマートアイランド」の実現に向け、アイシンと連携することになった。

効率的に周遊

同社が提供する「スマートバディ」は、スマートフォンなどで利用する観光誘導型ナビアプリ。アプリ内で観光したい地域や、移動手段などを選択して検索すると、あらかじめ登録された観光ルートとともに、名所・史跡やグルメスポット、絶景ポイントなど地域の見どころが表示される。

アプリは無料で利用でき、音声案内に従って観光することで、事前に下調べしなくても地域の見どころを効率的に周遊できるのが特徴。同社によると、愛知県や福岡県などの自治体が観光プロモーションの一環としてアプリを導入し、これまでに22コースを公開しているが、高校生が考案したコースは初めてという。

同校の生徒が作成したのは6コースで、自分たちが調べた情報を盛り込んだ。そのうち「水洗トイレ有り!ゆるキャンズコース!」は、デートや家族旅行などを楽しむ観光客を想定。食事も提供している海辺まで徒歩1分の宿泊施設「ほしふるテラス姫ケ浜」や、水洗トイレ完備の「大串キャンプ場」などを巡る。

初めて島を訪れる人向けの「for visitor」コースは、姫ケ浜海水浴場や四国霊場88カ所の本尊が祭られている真福寺、幅約8メートルの楠の大樹で知られる忽那島(くつなじま)八幡宮などを紹介する。

各コースは11月に開催された同校の文化祭で発表された。「地元の高校生だからこそ知っている島の魅力が詰まったコースが出来上がった」とアイシンの担当者は喜ぶ。

島の人口は少子高齢化や過疎化を背景に、20年前と比べて半分以下に減少。観光客誘致による定住促進、交流人口の拡大が課題となっている。

松山市在住で船で島に通学する同校3年の松本洋太朗さん(18)は「コース作りを通して、自然の豊かさや歴史など島の魅力を改めて知ることができた。魅力を発信することで、過疎化が進む島ににぎわいを作っていきたい」と話している。(前川康二)

松山市中島 愛媛県の北西沖合にある忽那諸島に属する島。面積約21平方キロメートル。平安から室町時代にかけて海上勢力の忽那氏が活躍し、「忽那島」とも呼ばれた。主産業は農業でミカンの栽培が盛ん。平成17年に中島町から松山市に合併。人口は合併当時の5550人から減少傾向が続いており、令和6年10月現在は2006人。

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