市町村対抗で茨城県最強のご当地グルメを決める「シン・いばらきメシ総選挙2024」が開催され、一般料理とスイーツの2部門のグランプリが決まった。メロンやレンコン、栗など生産量日本一の食材が豊富な割に名物料理が少ないとして、新たなご当地グルメを創出するため県が企画した。大井川和彦知事は「素晴らしい料理とスイーツばかりで、茨城の底力を証明できた」と評価。今後、イベントなどを通じ名物グルメのPRを図っていく考えだ。
観光資源としての可能性も評価
イベントは10月12~14日の3日間、水戸市の県庁三の丸庁舎で開催された。一般料理とスイーツの2部門で、新規か既存のグルメからの改良や工夫があり、県産食材を使用していることなどが条件。一般料理に41、スイーツには39の市町村が出品し、県内全44市町村がいずれかの部門にエントリーした。
インターネットの画像を基にした事前投票と、会期中の来場者の投票を合わせた結果からそれぞれ上位10品を選定。審査員が味覚に新規性や斬新性、観光資源としての可能性などを総合評価し、グランプリを決める仕組みだ。
1時間で8品食べた人も
初日から一般料理やスイーツのブース前で、お目当てのグルメを味わおうと来場者が長蛇の列を作った。人気の高いブースでは午後の早い時間帯にもかかわらず「完売」を告知するところも見られた。
鹿嶋市の豚丼を食べた大子町の鈴木真理奈さんは「県北の人間なので普段食べる機会がない鹿嶋の料理を選んだ。茨城をアピールできる催しと思うので県外でも実施したら良いのに」と話し、笠間市のハンバーガーに「焼きたての常陸牛がジューシーかつ濃厚」と舌鼓を打った阿見町の後藤直樹さんも「県内各地の特産品を知り、食べ比べもできる。地元の再発見につながる」と企画のコンセプトを楽しんだ。
水戸市の男性は「開始から1時間で料理とスイーツ計8品ほど食べた」と満足げに話した。
6万人を超える人出
最終日はアイドルグループ「乃木坂46」の元メンバー、秋元真夏さんも審査員として参加し、利根町のスイーツ「鯛パフェ」に特別賞を授与した。秋元さんは「ビジュアルにひかれて食べたが、見た目以上においしかった。フルーツとのバランスも絶妙でボリュームがあるのにペロッと平らげた」と〝推しグルメ〟を絶賛した。
イベントのクライマックスはグランプリ発表。一般料理は五霞(ごか)町の「シン・茨城あげそば」、スイーツは小美玉(おみたま)市の「ダイヤモンブラン」が選ばれた。
シン・茨城あげそばは、揚げた常陸秋そばに県産野菜をトッピングしたあんかけで仕上げた一品。中川一恵審査委員長は「香辛料で多彩な味に仕立て、彩りも素晴らしい。汁物を蓋付きのカップにするなど視覚にもこだわった」とコメント。
ダイヤモンブランは、筑波山の山頂付近で夕日が輝く「ダイヤモンド筑波」をイメージし、サツマイモクリームやアイス、マカロンを使ったビジュアル系スイーツ。大山栄蔵審査委員長は「栗やイモの旨さや食感の伝え方がうまい。作り手がデザートを知り尽くしている」と高く評価した。
3日間で延べ約6万4千人の人出でにぎわったイベントについて大井川知事は「クオリティーの高い熾烈(しれつ)な競争となり大成功。たくさんの人が食を求め来県するきっかけになれば」と期待した。(森山昌秀)