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激変する学校制服、パーカー導入した大阪の私立高は「斬新なかわいさ」で志願者大幅アップ

産経ニュース 2025年1月16日 11時0分

ブレザーからフードをのぞかせてみたり、ハーフパンツやトレーナーを導入したり。令和となり、セーラー服に詰め襟の学ランといったかつての制服が大きく様変わりしている。ジェンダーフリーや加速する温暖化への対応、生徒一人一人が自分らしさを表現しやすいことなどの条件を兼ね備えた制服が新潮流だという。

制服でUSJへ

令和3年度に制服を刷新した私立の大阪夕陽丘学園高(大阪市天王寺区)。制服全体の意匠変更に加え、セーターを廃止し頭からかぶるプルオーバー型のパーカーをグレーとネービーの2色展開で導入した。

3年生の秋山月乃さん(17)は進学フェアの掲示物で制服刷新を知り、「斬新なかわいさで他校と全然違う。制服が決め手の一つになった」と一目ぼれ。2年生の新宮明花音さん(17)も「最初は学校名がわからずネットで『大阪 高校 パーカー』と調べて見つけた」と笑う。ネービーのパーカーをあえて大きめのサイズでブレザーから裾をたっぷり見せる着こなしが好みだという。

一昔前なら「だらしない」「風紀が乱れる」といった指摘が飛びそうなパーカー制服だが、「実は教員からの提案。当初はそういう指摘もあったが、今は特に違和感もない」と大崎俊人校長。令和の時代に合う新しい制服に刷新しようと元年から教員と業者が議論を重ね、糸や生地からこだわり開発に丸2年かけた。

「大阪の都心部にある学校の洗練されたイメージ」で開発を進めたといい、「裏テーマとしてユニバーサル・スタジオ・ジャパンにも着ていきたくなるようなおしゃれな制服にしたかった」(大崎校長)。そのかいあってか、募集定員を下回る年もあった生徒数が制服刷新初年は定員を100人ほど上回ったという。

問い合わせ増と学生服メーカー

菅公学生服(岡山市)によると、「パーカー制服は令和に入ってから増え始めた」といい、同社では約十校の導入実績があるという。「今年、問い合わせもかなり寄せられており、今後ますます増えるのではないか」とみている。

導入した各校にパーカーを選んだ理由を尋ねると、「男女の別なく同じ形で着用できるパーカーはジェンダーフリー対応でよかった」「セーターより洗濯しやすい」「部活動で運動着の上に着られる」といった声が寄せられた。

このほか、同社によると近年の猛暑を受けて、ハーフパンツを採用する学校も増加。こちらも急速に広がったのは令和に入ってからだが、流行に先駆けて平成30年にいち早く採用した大阪府立東百舌鳥(もず)高(堺市)によると「夏季期間の猛暑を考慮し、ポロシャツと合わせてオプションとして導入した」という。

着こなしは70通り以上 自分らしさ摸索

また、私立土佐塾中高(高知市)では体温調節がしやすく、汎用(はんよう)性が高いものとして体操服の上着を兼ねた制服のスクールスエットを昨冬から導入、登下校時や運動着の上に着用できる。任意購入だが今年度入学した中学1年生はほぼ全員が購入したという。

スエットは緑やえんじなど全5色。校名にちなんだカレッジ風ロゴ「TSJK」の文字色も今後は選べるようにしたいという。ほかの制服のオプション品と組み合わせると着こなし方は70通りを超える。

同校の結城慎二広報企画室長は「生徒が自分らしさを表現できるものの一つとして制服がある」と話す。かつて制服は横並びで同じものを着用するのが当たり前だったが、そんな考えはもう古いようだ。(木ノ下めぐみ)

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