「知っているようで知らない『名作』の楽しみ方や物語のツボを一枚の『まとめ絵』とともに読み解く」をテーマに、今年1月から毎月第1土曜に掲載している「名作偏愛エマキ」が連載1年を迎えました。日本の古典からギリシャ神話まで、古今東西の12作をまとめ絵で彩ってくれた担当のいんこせいじんさんに振り返ってもらいます。(聞き手 田中佐和)
――いんこせいじんさんは本業は会社員で、イラストレーターとしてはこの連載がデビュー作でした
「SNSでいろんな人の似顔絵を描いていたところ声をかけてもらいました。古典に関する知識はゼロだったので正直不安で…何とか頑張れたかな」
――印象に残っている回は
「4月の『義経千本桜』です。文楽人形遣いの人間国宝、桐竹勘十郎さんにまとめ絵内で登場していただくことになりました。登場するキャラクターの着物や髪形が文楽人形と相違ないよう、ものすごいプレッシャーで。最終的に勘十郎さんに狐(きつね)のしっぽの太さなど細部を手直ししていただいたのは大切な思い出です」
――古典作品に触れてみてどうでしたか
「7月の『夏祭浪花鑑(なつまつりなにわかがみ)』では善人対悪人というだけではない物語の深さに触れました。自分の知らない世界にこんなにもドラマチックな話がたくさんあったんだなと驚いたし、最近、テレビで古典芸能の番組を見るようになりました」
――連載は続きます
「SNS上でも反響がありうれしく思っています。来年1月4日からは、イラストのサイズが大きくなるらしい。ますます頑張ります」