お硬いイメージ、払拭へ-。青森県内の全世帯に年4回配布される県議会の広報誌のデザインが一新され、SNS(交流サイト)などで反響を呼んでいる。アメリカン・コミックス(アメコミ)風のイラストや県議の写真をカードのようなデザインにするなど、ビジュアルを意識した内容に変更。比較的、地域の身近な課題、問題を議論する市町村議会と違って、とかく「何をしているのかよく分からない」と揶揄(やゆ)されがちな県議会。生まれ変わった情報発信ツールで身近な存在となるか。
「熱くたぎる想い」
広報誌「あおもり県議会だより」は2、6、9、11月の各定例会ごとの一般質問の内容や、それに対する県側の答弁、可決された議案などが掲載されている。デザインは業者から企画、提案された複数の案の中から県議で構成される広報図書委員会が審査、採択し、委託業者を決める。今年2月定例会の概要を紹介した第35号から一新され、SNSなどで話題となった。
表題には大きな文字で書かれた「ハイ!」と、「熱くたぎる想いを届けたい!!!!」というキャッチフレーズ、それに議員をイメージした男女が挙手するアメコミ風のイラストを掲載しており、漫画風に視覚で引き付けるデザインが目を引く。
ページをめくっていくと、質問する議員の写真にカードのようなデザインがほどこされ、右上には所属会派が頭文字で表記されている。議論をカードバトルのように演出しているかのようで、「議員一人一人の顔が目立ち、スポットが当たるようにするためにカード風にした」と県議会事務局の伊藤敏文調査課長。
このように写真、多色のイラストを使うことで見やすく、柔らかいイメージが出るよう工夫されているが、年4回配布されるとあって季節感を前面に出したイラストをちりばめるなど、細部へのこだわりも大きな特徴。例えば6月定例会の内容を記した第36号では、浴衣姿の女性やサーフィン、虫取りをする男性のイラストを掲載している。
一方で、質問の要旨や答弁、用語解説、QRコードでの動画配信など骨格部分はほぼ踏襲している。
批判も「ポジティブに捉える」
議会の広報誌といえば情報発信のツールの一つだが、堅苦しくて、なじみが薄いという印象が強い。こうした中、北海道鷹栖(たかす)町議会が議会チラシを映画のポスターや雑誌広告のようなデザインにしたことで町民の関心を呼び、話題となった。
青森県の県議会だよりもこれまでの縦書きで文字数が多く、硬いイメージから大きく様変わりしたが、県議会事務局によると、高齢者からは「マンガっぽくてふざけている印象」という批判の声が寄せられた一方で、ネットでは若年層を中心に「初めて見た」「見やすくなった」「親しみやすい」など好評だという。
伊藤課長は「賛否両論あると思うが、批判をいただくことが関心を持っている証拠なのでポジィティブに捉えている」とした上で、「選挙での投票率低下が叫ばれる中、こうした取り組みが若い人に県政、県議会に関心を持ってもらえるきっかけづくりになればと思う」と話している。(福田徳行)