Infoseek 楽天

羊肉「味付け派」と「タレ後付け派」、どちらもうまいジンギスカン「応援隊」は全国8千人  味・旅・遊

産経ニュース 2024年6月30日 12時0分

独特の風味がたまらない北海道のグルメの一つ「ジンギスカン」。道民にとってはなじみが深い食材の一つで、スーパーや食肉店などで手軽に羊肉を購入できることもあって食卓に並ぶ機会は多い。「味付け派」と「タレ後付け派」で好みが分かれるが、どちらを選んでもおいしいことには間違いない。

ヘルシーでおいしい

北海道でジンギスカンが定着したのは第二次世界大戦以降。農林水産省がホームページで紹介する「うちの郷土料理」によると、大戦後に衣料資源としての羊毛需要が落ち込み、食肉向けへと変化したことがきっかけという。動脈硬化や脳梗塞などの要因になるコレステロールの量が豚肉や牛肉よりも少なく、脂肪の代謝に欠かせないアミノ酸(L―カルニチン)が豊富などヘルシーさもある。

食べ方はタレに漬け込んだ羊肉を焼く「味付け」と、市販や手作りタレにつける「後付け」が代表的。味付けは野菜に肉汁がしみ込んでおいしさが倍増。後付けはメーカーごとに味が異なるタレをブレンドしたり、薬味を加えて羊肉本来のうまさを楽しんだりするのが魅力。記者は後付け派で白飯とのマッチングは最高だ。

後付け派にとってはベル食品(札幌市)の「成吉思汗たれ」とソラチ(芦別市)の「特選成吉思汗」が代表的な付けダレ。しょうゆベースでさっぱりとしながらも濃厚な風味で、冷蔵庫に常備する道産子は多い。

550枚のジン鍋並ぶ

札幌市から車で約60分の岩見沢市にはジンギスカン鍋だけを集めた「ジン鍋アートミュージアム」がある。平成28年にオープン。当時は180枚ほどだったが、買い集めるなどして今は550枚超の鍋が並ぶ。溝口雅明館長(68)は「寄贈もあるけど、こんなに増えるとは」と自身も驚くほど。

さまざまな形や素材の鍋が並ぶ館内には、昭和10年製造の国内最古の家庭用ジンギスカン鍋や北海道をかたどった直径130センチの超特大、一人用の超ミニ鍋などユニークな品がずらり。毎年4月29日のシーズン開館日には参加者が羊肉などの食材を持ち寄り、博物館前でジンギスカンパーティーを開催しており、「月1度の開館時のタイミングなら、4人以上で食材を持参し、1人500円の入館寄付で鋳鉄製ジン鍋と七輪、炭を貸し出しますよ」と溝口館長は歓迎している。

フェスティバルに集う

札幌市内で5月中旬、3日間にわたり「ジンギスカンフェスティバル2024」が開かれ、総勢3600人のジンギスカン好きが舌鼓を打った。主催した北海道遺産ジンギスカン応援隊によると、平成27年に始まり、今年で7回目。今回は21社42商品の味付きジンギスカンなどを用意し、1トン超が消費されたという。

会員は全国にちらばり、5月末時点で約8千人。半数が道外会員で、ホームページや交流サイト(SNS)を通じてジンギスカンの魅力発信を続けている。

隊長は北海道出身の作家、仙石涼太郎さん(60)。自著でジンギスカンの話題を取り上げたことなどが縁で就任したといい、「物心がついたときから食べていたソウルフード。家族や友人たちとのだんらん、絆を深めてくれた宝物です」と全国にPRする。

好きな食べ方は後付け。「味付きなら最後にうどんを入れて煮込み風で締めます」とジンギスカンに対する思いは熱い。

(坂本隆浩)

ジン鍋アートミュージアム(北海道岩見沢市栗沢町仲町8)。岩見沢駅からタクシーで約30分。今後の開館日は7月13~14日、8月17~18日、9月14~15日、10月12~13日、11月10~11日。問い合わせはmizo@yoko―net.sakura.ne.jp

この記事の関連ニュース