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横田めぐみさんの早期帰国を願い 「再会を誓う同級生の会」代表 池田正樹さん(60) 令和人国記

産経ニュース 2024年10月5日 8時0分

北朝鮮による拉致被害者の横田めぐみさん=拉致当時(13)=は10月5日、帰国を果たせないまま還暦(60歳)の誕生日を迎えた。「横田めぐみさんとの再会を誓う同級生の会」はこの日、特別な思いを胸に、帰国を願うチャリティーコンサートを新潟市内で開催する。会の代表である池田正樹さん(60)に公演前の心境を聞いた。

異国で迎える還暦

13歳の少女が北朝鮮に拉致され、帰国できないまま異国の地で還暦を迎えることが信じられません。今回のチャリティーコンサートのチラシには、強い願いを込めて「横田めぐみさんお帰りなさい!」という仮タイトルを付けて準備していましたが、かないませんでした。タイトルは「帰国が早急にかなうように!」に替えました。

コンサートでは、めぐみさんの双子の弟、哲也さん(56)や拉致被害者の曽我ひとみさん(65)らが全被害者の早期帰国を願って講演を行います。その後、めぐみさんの同級生でバイオリニストの吉田直矢君と私たちが楽器演奏会を行い、最後に同級生たちが「翼をください」と「故郷(ふるさと)」を合唱します。

「翼をください」は、めぐみさんの母校の新潟市立寄居中のクラス対抗合唱コンクールで、1年生だっためぐみさんと同級生が一緒に歌った曲です。「悲しみのない自由な空へ 翼はためかせ行きたい」などの歌詞があり、めぐみさんの思いそのものではないかということで、コンサートで毎年歌っています。

「故郷」は、帰国を願って歌われた際、4年前に亡くなっためぐみさんの父、滋さんが生前、涙ながらに聞いていた曲です。

活発な女の子

当時、めぐみさんの自宅近くにテニスコートがありまして、めぐみさんが塀をよじ登ってコートに入り、テニスをしていたのを覚えています。活発で元気な女の子でした。また、給食の時間には、おもしろい話題を提供し、クラスのみんなを笑わせていました。同級生の笑顔をみて、うれしそうにしているめぐみさんが印象的でした。

寄居中ではめぐみさんも私もバドミントン部に所属していました。拉致当日の昭和52年11月15日は体育館で練習をしていて、めぐみさんは部活からの帰りに拉致されました。体育館での練習姿が、私が見ためぐみさんの最後の姿でした。

新政権は全力で

同級生の会は、チャリティーコンサートを開催するため、平成22年に結成されました。それまでは、めぐみさんが通っていた市立新潟小の元校長先生が、めぐみさんの誕生日前後に誕生会を催していましたが、高齢のため、同級生の会が引き継いでコンサートを開くことになりました。

コンサートは22年以降、新型コロナウイルス禍に見舞われた令和3年を除いて毎年開かれ、今回で14回目になります。

私は平成24年から同級生の会の代表を務め、メンバーは現在約30人います。

私たち同級生が生まれ育った新潟市で、めぐみさんが拉致されました。その新潟市で活動を起こし、拉致問題の一日も早い解決を後押ししたいとの思いが強くあります。

めぐみさんとの再会を果たせずに亡くなった滋さんは無念だったと思います。母の早紀江さん(88)には何としても、帰国しためぐみさんと抱き合ってほしいとの思いで活動しています。

新政権には、わが子が拉致されたと思い、被害者全員の帰国に全力を尽くしてほしいと思います。

(聞き手 本田賢一)

いけだ・まさき 昭和39年生まれ。新潟市出身。平成2年に金沢工業大を卒業後、NECに入社し、営業職として勤務。令和5年に早期退職し、北朝鮮による拉致問題を風化させないための講演や、自治体に拉致問題啓発条例の制定を求める活動などを行っている。

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