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逆風の「大阪維新の会」、退潮招いた所属議員の既得権益化 揺れる「改革政党」の存在意義

産経ニュース 2024年10月9日 10時0分

地域政党「大阪維新の会」が逆風にさらされている。最近の選挙で相次ぎ苦杯をなめ、発足した「刷新プロジェクトチーム(PT)」からは、大幅な支持率低下という厳然たるアンケート結果を突き付けられた。理由は「身を切る改革」を旗印にしてきた維新の「既得権益化」。次期衆院選の投開票が予想される27日には、複数の地方選も実施される見込みで、一連の結果が執行部の体制を左右する可能性も出てきている。

ゆるみと驕(おご)り

「大変厳しい現状を共有した。大きな危機感を持って(立て直しを)進めていかないといけない」

9月27日、大阪市内で開かれた維新の全体会議で、刷新PTの中間報告が示された。終了後、吉村洋文代表(大阪府知事)とともに記者団の取材に応じた横山英幸幹事長(大阪市長)は険しい表情でこう語った。

刷新PTが発足したのは8月末のことだ。これに先立つ4月、国政政党「日本維新の会」の藤田文武幹事長の地盤である大東市長選で、公認の新人がよもやの落選。8月25日の箕面市長選では平成22年の結党以来初めて、維新公認の現職首長が黒星を喫していた。

相次ぐ敗戦の原因を探るべく刷新PTは府民約千人を対象にアンケートを実施。その結果は、改革政党を標榜(ひょうぼう)してきた維新のレゾンデートル(存在意義)にも関わる厳しい内容となった。

維新への支持は28・5%と、この半年間で12・3%減少。党創設者の橋下徹氏や松井一郎氏が現役だったころと比べて「悪い方に変わった」との質問に同意する回答は5割を超えた。

逆風の理由として、日本維新が推薦した斎藤元彦・兵庫県知事(当時)の告発文書問題への対応など直近の事情にも言及されてはいた。だが最大の要因として挙げられたのは、所属議員の「既得権益化」。議員個人の活動の量や質が低下し、ゆるみ・驕りがある、と指弾されたのだ。

出席者によると、全体会議では、所属議員の定年制や期数制限などを設け、人材の流動性を高めるべきとの意見が噴出。刷新PTで追加アンケートを実施することになった。

問われる「透明性」

刷新PTは党内の首長や地方議員にもアンケートを行っている。組織全体やルールについての質問には、183件の回答のうち84・7%が「改善すべき」とした。問題点として挙げられたのは「組織の一貫性や透明性の欠如」だ。

特に問題視されたのは地方選挙での公認候補の選定プロセスや基準の曖昧さ、さらに内部での調整不足だった。

それを如実に示したのが9月22日投開票の摂津市長選。維新府議が出馬の意向を示したものの公認を得られず、離党して無所属で立候補した。維新は支持票が割れる恐れがあり市長選には公認候補を立てなかったが、結果は別の無所属候補が当選。摂津市選挙区の府議補選では維新の元市議を擁立して注力したが、141票差の次点で落選した。

代表選の行方は

10月27日投開票が予想される衆院選には、維新所属の地方議員も複数出馬するため、辞職に伴う府議・市議補選が行われることになる。同日投開票が見込まれる阪南市長選にも、維新現職と現職批判で党を除名された元府議が立候補を予定。これらの地方選の結果は総選挙の勝敗とともに、11月半ばに予定される大阪維新代表選の行方を左右しかねず、これから負けられない戦いが続く。

新の選対本部長を務める森和臣府議は2日、府議補選候補者らの出馬会見で「維新は府議会で過半数を持つからこそ、議員報酬の3割削減などの『身を切る改革』を進めてこられた」とした上で「逆風は十二分に理解している」と表情を引き締めた。(山本考志)

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