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「政治とカネ」問題の〝火の粉〟払えるか 衆院解散・総選挙見据える新潟3区候補者のいま

産経ニュース 2024年7月22日 11時0分

新潟県内で次の衆院選に向けた動きが活発化している。与野党が激戦を演じてきた新潟3区(新発田市や村上市など)では、立候補予定者の集会に党本部から大物が駆け付け、本番直前のような雰囲気が漂う。そうした中で頭をもたげてくるのは「政治とカネ」を巡る問題だ。対応に苦慮するそれぞれの現場をのぞいてみた。

「2勝2敗」の五分

新潟県では、次の衆院選から選挙区の数が6から5に1つ減る。それに伴って区割りが変更され、新しい3区には、新潟市北区の一部と秋葉区全域が新たに加わる。

3区では平成24年以降、自民党の斎藤洋明衆院議員(47)と、前回の選挙(令和3年)で斎藤氏に敗れた立憲民主党の黒岩宇洋(たかひろ)氏(57)が激戦を繰り広げてきた。前々回(平成29年)は黒岩氏が大接戦の末にわずか50票差で勝利し、全国的に話題にもなった。

両氏の選挙区での対決は2勝2敗の五分。次の衆院選に向け、両陣営とも熱が入るが、政治とカネなどの問題に頭を抱える。

自民は派閥の政治資金パーティー収入不記載事件とその対応で批判にさらされ、多くの選挙で敗戦が続いている。一方、立民も、旧新潟6区の梅谷守衆院議員(50)が、選挙区内で行われた複数の会合で有権者に日本酒を手渡したとして、公選法に抵触する恐れが指摘されている。同党は5月下旬、梅谷議員を1カ月間の党員資格停止とする処分を決めた。

政治活動費を公表

斎藤陣営は6月16日、選挙区内の最大の票田である新発田市で、麻生太郎副総裁を招いて政治資金パーティーを開いた。

斎藤氏は支持者を前に、「広く、薄く支援をお願いする政治資金パーティーは最も開かれた方法。ただ、(収入と支出をきちんと報告する)透明化は必要だ」と強調。自身の3つの政治資金団体の令和5年度の収入額と支出額を項目ごとに記載したA4判資料を出席者に配布して説明し、やましい部分がないことをアピールした。

資料によると、収入総額は約5400万円。内訳はパーティー収入が48%で最も多く、以下、法人などからの寄付27%、政党交付金22%の順。支出は約5100万円で、人件費が38%で最も多く、自動車代やガソリン代などの備品・消耗品費が15%、地元事務所の家賃などが13%などとなっていた。

斎藤氏は「政治資金パーティーで得たお金は個人的に使っていない」と説明。麻生氏も「民主主義にはコストがかかる。特に地方の議員は、地元と東京の両方に家を持たなくてはいけない。そういうものに経費が必要ということは理解していただきたい」と集まった支持者に訴えた。

揺らぐ信頼

一方、黒岩陣営はその1週間前の同9日、区割り変更で新しく加わった新潟市秋葉区で集会を開いた。党本部からは岡田克也幹事長が駆け付けた。

黒岩氏は集会終了後、日本酒供与問題について「選挙区内の支持者から『残念』とか、『(立民への)信頼が揺らぐかもしれない』などの声が出ている」と述べ、この問題が波紋を広げていることを明かした。その上で「(自身の選挙で)決定的なものになるかどうかというと、別の問題だと思う」とした。

岡田氏は「梅谷議員への処分は、(告発状を受理した)捜査当局が結論を出していない途中段階での党の判断だ。状況によっては、もう一度党内で(対応を)議論しなくてはいけない」と語った。

斎藤氏も黒岩氏も不祥事の当事者ではないが、根強い政治不信の〝火の粉〟をいかに払いのけるかが激戦を勝ち抜くポイントになりそうだ。(本田賢一)

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