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ともに「五輪で金メダル」が目標 卓球一家の松島輝空・美空兄妹が全日本選手権で躍動

産経ニュース 2025年2月3日 8時0分

日本の卓球界に、将来が楽しみな兄妹がいる。松島輝空(そら、木下グループ)と美空(みく、京都)。1月26日まで行われた全日本選手権シングルスで、17歳の輝空は昨夏のパリ五輪代表を次々と破り、男子で初優勝を飾った。小学5年生で11歳の美空は、高校生を立て続けに撃破して存在感を示した。ともに「五輪で金メダル」を目標に掲げる兄妹が、力強く歩みを進めている。

小学生で唯一「一般の部」出場

一足先に出番がやってきた美空が、まずは快進撃を見せた。小学生でただ一人、一般の部に出場し、高校生に2連勝した。小学生での2勝は、張本美和(木下グループ)や平野美宇(木下グループ)の例がある。美空は、3回戦で敗れて目標の4回戦には一歩届かなかった。一方、ジュニアの部では、目指していた8強を達成した。準々決勝で高校生に敗れたが、接戦を繰り広げた。

実力は大人顔負けだが、最近の課題は「負けそうになったときに、態度に出さないこと」と苦笑いする。コート上では喜怒哀楽がわかりやすく、劣勢の場面で失点すると、じだんだを踏む場面も。負けず嫌いな性格だからこその行動だそうで、美空は「態度に出すと、自分の弱いところや苦手なところがバレてしまうので」と冷静に自己分析した。

ラリーの音を〝子守歌〟に

妹の活躍に「負けていられない」と刺激を受けた輝空も躍進した。前回大会はジュニアを制し、今回は一般の部に専念。順当に勝ち上がり、26日の準決勝でパリ五輪代表の張本智和(智和企画)を破ると、決勝でも勢いは止まらなかった。パリ五輪代表の団体戦要員の3枠目を争った篠塚大登(愛知工大)に攻めの姿勢を貫き、勝利を収めた。

昨夏のパリ五輪は代表から落選。補欠として帯同し、涙をのんだ。その悔しさを晴らすかのような優勝に、「(代表の2人を)いつか倒したいと思っていた。全日本の大舞台で勝ててうれしい」。コート上では笑顔を見せない次世代のホープは、試合後は少し表情が和らいだ。

松島家は文字通りの「卓球一家」だ。両親は元実業団の選手で、4人きょうだいはいずれも卓球に取り組んでいる。父の卓司さんは「(子供たちに)卓球をやらせる気満々だった」。輝空、美空も0歳や1歳のころからラケットを握っていた。幼少期の輝空は、両親が勤める卓球場でラリーの音を〝子守歌〟に、卓球台の近くで寝ることがしばしばあったという。

11歳でワールドツアーに参戦

輝空は、3歳頃から本格的に競技を始め、早くから頭角を現した。11歳でワールドツアーデビューをすると、2021年には世界ユース選手権15歳以下で3冠するなど活躍中だ。

美空は、22年10月に史上最年少の9歳でTリーグに出場した。昨年11月の日本生命戦では、パリ五輪女子団体銅メダルの田志希(韓国)を破り、リーグ最年少勝利を挙げた。

輝空も美空も、将来の目標は「五輪で金メダル」。輝空が「ロスに自分がシングルスで出る強い気持ちを持って頑張りたい」と言えば、美空は「次の五輪は出場という目標で。次の次の五輪で金メダルを取れるように頑張りたい」と未来予想図を描いた。兄妹での五輪出場が実現するときは、そう遠くないかもしれない。(久保まりな)

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