Infoseek 楽天

ソフトバンク、「プレーオフの呪縛」は昔話 柳田、守護神復帰で描く日本一奪還計画

産経ニュース 2024年10月2日 11時0分

パ・リーグを4年ぶりに制したソフトバンクが日本一奪還を目指し、10月16日からのクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージに出場する。現行のCSの土台となるプレーオフ制度が始まった2004年、リーグ戦を1位で終えたダイエー(現ソフトバンク)が短期決戦で逆転された悲劇を覚えているファンも多いだろう。それでも、最近の日本シリーズでは19、20年に2年連続で巨人を4勝0敗とスイープした。今季のポストシーズンも、独走したペナントレースからさらに強くなった姿をみせつけるつもりだ。

9月は「しんどく感じた」

9月23日にリーグ優勝を決めた後、小久保監督は「逃げ切るとか、守りに入るところはやはりあった。9月に入ってからの戦いが非常に長く、しんどく感じた」と心境を語った。2位日本ハムの奮闘もあって、9月に入ってから優勝決定までは苦しんだといえるだろう。

今季は対外的に圧倒的な強さを誇った一方、チーム内では故障者も多く、投打の主力が不在の期間も長かった。3番打者で大黒柱の柳田が5月31日に右太もも裏を負傷して離脱。さらに守護神のオスナも7月5日に下半身のコンディション不良で登録を抹消され、8月にはリハビリのために米国に一時帰国した。その後に抑えを務めた松本裕も右肩の疲労で9月上旬に戦線を離れた。

若手抜擢で底上げ

それでもペナントレースを圧勝できたのは、抜擢した若手が力を伸ばし、底上げに成功したからだ。昨季まで2年間、2軍監督を務めた小久保監督は、開幕前に育成枠から支配下登録した緒方、川村、仲田の〝秘蔵っ子〟らを1軍の場で成長させ、救援陣も新人の岩井、大山らを優勝間近の9月の戦いでもためらわずに起用。経験を積ませながら、確かな戦力になり得ることを確認した。

9月も終わってみれば、15勝8敗と十分に強さを発揮した。故障者の復帰にも明るい兆しが見えている。すでにオスナは1軍復帰を果たしてセーブを記録。柳田も2軍戦で復帰して本塁打を放ったのち、約4カ月ぶりに1軍に戻ってきた。3番の栗原をそのままにして、2番打者となって新たな可能性を見せている。打率トップで不動の5番打者だった近藤も右足首負傷で離脱したが2週間ほどで打撃練習を再開し、現在は1軍に帯同しながらリハビリ。ポストシーズンに向けて着々と準備している。

王貞治会長も太鼓判

さらに優勝決定後には日米通算165勝を誇る43歳のベテラン左腕、和田をリリーフに転向させ、10月1日にはドラフト1位の高卒ルーキー前田悠に初登板初先発の機会を与えるなど、残ったシーズンでもCSに向けた新たな可能性を貪欲に模索した。

〝プレーオフの呪縛〟に苦しんだのは過去の話。ソフトバンクは14~20年の7年間で日本一が6度とポストシーズンも力を発揮してきた。リーグ優勝決定後、王貞治球団会長は「うちはクライマックスと日本シリーズは強いんだという思いを持っている。選手たちもそういう思いはあると思う」と強調した。

小久保政権1年目の今季は、6月までに独走態勢を築き上げると、7月30日にマジック「42」を点灯させ、他球団の追随を許さなかった。あとは4年ぶりの日本一奪還へ突き進むのみだ。(大石豊佳)

この記事の関連ニュース