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高橋藍効果で満席の男子、空席に苦しむ女子 バレーボールSVリーグ開幕3カ月の明暗

産経ニュース 2025年1月16日 12時0分

昨年10月にスタートしたバレーボールの大同生命SVリーグがシーズン半ばを迎えようとしている。開幕から約1カ月後に行われた会見では、男子の平均入場者数が目標数を上回る一方、女子は目標の約半数にとどまり、集客戦略の見直しなどを課題に挙げていた。約3カ月が経過し、女子の試合の集客は苦戦が続いているが、姫路の宮部藍梨は「運営側だけでなく選手側もどうしたらいいか、一緒に考える環境になっている。いい方向に向かっている」と悲観はしていない。

新体制に手応え

昨年11月28、29日、大阪で平日の夜に開催された男子のサントリー―日鉄堺BZ。サントリーの高橋藍がコートの内外を移動するたびに観客席を埋め尽くしたファンのスマホが同じ方向に動き、その姿を追っていた。屋外のグッズ売り場には試合開始約2時間前から行列ができ、改めて人気の高さをうかがわせた。

SVリーグが開幕した昨年10月11日のサントリー―大阪Bは6513人を動員。男子では試合によってチケットが取りにくい状況も起こっている。

高橋は交流サイト(SNS)などでのアピールにも協力。開幕の際にはSVリーグが世界最高峰のリーグを目指す上で「自分の成長のために帰ってきたが、活性化の部分をやっていく思いもある」などと語り、さっそく観客動員をはじめとする大きな効果を生んだ。

手応えを感じている監督、選手も多いようだ。大阪Bの西田有志は「(ホームを)満員状態にしてもらっているのはありがたいこと。僕は(チームが)勝てる状況を作るのが一番。それができるかできないかで注目度は変わってくる」と話し、大阪Bのロラン・ティリ監督は「(旧体制と比べ)大きく変わっている。東京だけでなく大阪も満席の状態で、コートでも(プレーは)国際レベル。外国人選手が増えたこともあるが、日本人選手もより意識が高くなり、技術は上がっている。試合も面白くなっている」と実感を込める。

女子も必死に集客作戦

一方、女子は集客に苦戦している。昨年11月16、17日に兵庫県加古川市で開催された姫路-大阪MV。姫路には2024年パリ五輪代表で姉の宮部藍梨、大阪MVには妹の愛芽世(あめぜ)が所属。SVリーグでは初の姉妹対決をクローズアップし、2人の写真を表紙にしたパンフレットも製作された。

加古川市内の中学校のバレー部に所属する生徒たちも招待されるなどし、市も盛り上げに注力。16日はフルセットで宮部姉妹のスパイクの応酬もあり、見どころの多い展開だったが、全国区で注目された兵庫県知事選(11月17日投開票)とバッティングしたこともあってか、初日の集客は1千人超。男子の試合との集客数の差は否めず、姫路の井上愛里沙は「お客さんにまだまだ来てほしいというのは感じている」と寂しそうに話し、宮部は「男子がクローズアップされるところで女子ももうちょっと頑張らないといけないと自分自身も思う」と語った。

注目の女子が加入へ

男女ともに監督、選手が口をそろえるのは「レベルが上がった」ということだ。試合には外国籍選手がアジア枠を含めて最大3人が出場できるようになり、競技力向上に力を入れたことも要因だが、姫路の井上は「どこのチームの試合も面白いバレーをしている。対戦相手からも学ぶことがたくさんある」とやりがいを口にする。また、姫路の宮部は「どういうふうにSVリーグを広められのるか。これにみんながフォーカスし始めているのはリーグ全体でいい動きなのかなと思う」と女子チームの思いを代弁した。

注目度の高い選手が集まった今年度の全日本バレーボール高等学校選手権(春高バレー)で活躍がめざましかった選手もSVリーグに多く加入予定。さらなる話題に結びつけられるか。(嶋田知加子)

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