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男子20キロ競歩パリ五輪代表の浜西諒 スーパー店員と競技の両立が進化の礎

産経ニュース 2024年6月27日 8時0分

陸上の男子20キロ競歩でパリ五輪代表の浜西諒(サンベルクス)は、金メダル獲得という目標に向け、階段を一歩ずつ上がっている。一方で、現在も週4日、スーパーマーケットで青果の品出しなどの仕事を続けている。その分、練習時間は減ることになるが、進化の礎となったのは、まさにスーパー店員と競技との両立にあった。

浜西の急成長は続いている。2月の日本選手権で2位となって初の五輪代表を手繰り寄せると、5月の東日本実業団選手権では、男子5000メートル競歩で18分16秒97の日本記録を打ち立てた。2度の警告を受けた日本選手権から歩型を改善し東日本実業団では警告ゼロ。「まだまだスピード、動きの切れは出していける」と、パリ五輪に向けてさらなる進化を探る。

昨年から社会人となり、当初は仕事を覚えながら慣れない環境で競技を続ける難しさに直面。「精神的な不安もあった」と明かす。それでも、昨年9月の全日本実業団選手権男子1万メートル競歩では、21年東京五輪男子20キロ競歩銀メダルの池田向希(旭化成)に約8秒差に迫る2位。「少し可能性があるのかなと思い始めた」という。

意識の変化が好成績につながっている。「学生時代は良くも悪くも時間がありすぎて、どこかで怠けてしまった」。社会人になってからは、埼玉県内のスーパーマーケットで週4日、仕事に時間を取られる。「時間は有限だと身に染みてわかったことが大きい」。

今の日々の過ごし方はこうだ。午前5時半ごろから約1時間練習し、朝食をとってから出勤。午前8時からの業務では青果の品出しを担当、きゅうりやにんじんの袋詰めも行う。店頭でお客さんから青果についての質問を受けることもあるという。

午後1時に仕事を終えると、すぐにストレッチなどを行って夕方の練習に備える。仕事と競技で全く違った刺激を受け、メリハリの利いた両立を続けることが、お互いの気分転換にもつながる好循環を生んでいる。

日本の男子競歩は、2016年リオデジャネイロ五輪から2大会連続でメダルを獲得するなど、〝お家芸〟として期待値も高い。24歳の新星もそれはよく理解している。

「五輪というレース全体を楽しんでやれればという思いが一番だけど、やっぱり日本代表として出場する以上、金メダルを目標に残り期間、準備していきたい」。高みを目指して歩み続ける。(運動部 小川寛太)

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