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「4番・中田翔」構想が頓挫した立浪竜の断末魔 自力CS消滅で気になる指揮官の進退 鬼筆のスポ魂

産経ニュース 2024年8月23日 11時30分

「4番・中田翔」という起死回生の勝負手が粉砕され、中日・立浪和義監督(55)は進退窮まったのではないか。2年連続最下位で迎えた3年契約の最終年である今季も、20日のDeNA戦(横浜)に2-4で敗れ、リーグ最速で自力でのクライマックスシリーズ(CS)進出の可能性が消滅。114試合消化時点で47勝59敗8分けの借金12、5位低迷では将来への光明も見いだしにくい。

自力でのCS進出の可能性が消えた試合後、立浪監督は「これだけ借金を抱えているが、残り試合を全力でやる。若い選手もたくさん出ているので何かつかんで成長しないといけない」と声を絞り出した。

虎将の予言的中

勝負の年として臨んだ今季は4月中旬に貯金を最大6まで増やしたが、5月以降は3カ月連続で負け越し。8月も7勝10敗2分け(22日時点)とチームが上向く気配は全くない。

最大の誤算は大砲・中田翔内野手(35)を獲得し、「4番を任せる」とした立浪構想が頓挫したことだ。昨季はいずれもリーグワーストだったチーム打率2割3分4厘、71本塁打、390得点という貧打解消のため、指揮官が昨オフ、獲得に動いたのが巨人との3年契約をオプトアウト権を行使して破棄し、自由契約を選択した中田だ。昨季は92試合出場で打率2割5分5厘、15本塁打、37打点と不本意な成績に終わったが、過去に打点王に3度輝いた勝負強さを評価。年俸3億円プラス出来高(推定)の2年契約という破格の条件で招いた。

しかし、中田は5月15日の阪神戦(バンテリンドームナゴヤ)で左足首に自打球を当て、翌16日に出場選手登録を抹消されると、打撃の調子も急降下。8月9日には練習中に腰の不調を訴え、3度目の登録抹消となった。今季は62試合出場で打率2割1分7厘、4本塁打、21打点と期待外れの不振にあえいでいる。

立浪竜が中田を獲得した昨オフ、一報を聞いた阪神・岡田彰布監督(66)は「えっ?! 獲ったん。よう獲ったなぁ。全然怖ないよ。まあ打っても10本くらいやろ」と失笑していたが、予言的中の現状だ。

絶好調ビシエドの処遇

中田をめぐっては不思議な状況も生まれている。同じ一塁のポジションを争うダヤン・ビシエド内野手(35)は22日現在、2軍で55試合に出場し打率2割9分8厘、6本塁打、24打点と絶好調。在籍9年目の今季からフリーエージェント権を獲得して日本人扱いとなり、外国人枠にとらわれず起用できる。

年俸3億5千万円(推定)はチーム最高年俸にもかかわらず、中田抹消後もなぜか1軍に呼ばれない。今季の1軍出場は15試合(5月16日昇格→6月9日抹消)で、打率2割9厘、1本塁打、2打点も、「試合に使い続ければ結果を出すはず」と話す球界関係者は多い。今季が3年契約の最終年。このままの状況ならば、今オフ退団→他球団移籍の可能性も出てくる。

13年連続のV逸濃厚

中日は落合博満監督時代の2011年にリーグ優勝を飾ったのを最後に優勝がなく、今季で13季連続のV逸となりそうだ。この間、Aクラスは2回(12年2位=高木守道監督、20年3位=与田剛監督)だけ。それでも今季の観客動員数は192万1250人(59試合=1試合平均3万2564人、22日現在)。ホームゲームには多くのファンが詰めかける。ファンは諦めることなく声をからして応援しているのだ。

逆襲の構想が空振りに終わった立浪監督の進退はどうなるのか。長期低迷は現場トップの責任だけではなく、現場をバックアップできない球団首脳にもあるのでは…。名古屋のファンは今夜も寝苦しい夜を迎えそうだ。

【プロフィル】植村徹也(うえむら・てつや) サンケイスポーツ運動部記者として阪神を中心に取材。運動部長、編集局長、サンスポ代表補佐兼特別記者、産経新聞特別記者を経て特別客員記者。岡田彰布氏の15年ぶり阪神監督復帰をはじめ、阪神・野村克也監督招聘(しょうへい)、星野仙一監督招聘を連続スクープ。

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