1月2~3日に第101回東京箱根間往復大学駅伝が行われる。今季の大学駅伝を巡っては、国学院大が2冠と結果を残しているが、昨大会総合優勝の青学大と駒大を交えた「3強」の実力は拮抗(きっこう)しているとみられ、例年以上に指揮官の区間配置が勝負を分けそうだ。箱根路の制覇に向け、3校が描く青写真とは-。
青学大「往路で独走」
連覇に向け、青学大の原晋監督は、例年になく自信にあふれている。
10月の出雲全日本大学選抜駅伝、11月の全日本大学駅伝は国学院大、駒大の後塵(こうじん)を拝し、いずれも3位に終わった。それでも原監督は「往路に強力な布陣を構えている。普通に走れば独走できる」とまで口にする。
原監督がここまで強気に出るのは、青学大の必勝パターンに必要なピースがそろっているからだろう。過去10大会で7度の総合優勝を誇る原監督は近年の往路重視の流れを作った。その往路候補に、11月に1万メートルでチームトップとなる27分43秒33を記録したエースの鶴川正也、昨大会2区区間賞の黒田朝日、同3区区間賞の太田蒼生と「Sクラス」(原監督)の選手がそろっている。
さらに、山上りの5区に同区間2位の若林宏樹、復路のスタートになる6区には同2位の野村昭夢と実績のある選手が控える。原監督が「5区までで(タイム差を)2分」の貯金を作り、山で実績のある2人がさらに差を広げ、総合優勝を揺るがぬものにするというプランも十分実現可能に見える。
区間配置の発表は29日
一方、国学院大と駒大は、青学大が先行する展開を見据え、両校とも「復路勝負」のプランを描いている。
3冠がかかる国学院大の前田康弘監督は「往路から逃げるのは簡単ではない。復路の中で仕留めていくことを考える」と粒ぞろいの選手層に勝機を見いだす。前田監督の復路逆転のシナリオが実現する目安は、理想的な布陣を組めれば「6区が終わって(タイム差は)1分半」とみる。
国学院大は、5区、6区で待ち受ける標高差800メートル超の難所をいかに攻略するかが焦点となる。昨大会は山上りの5区上原琉翔が区間17位、下りの6区は後村光星が走って区間10位と伸び悩んだ。全日本後、この2区間について前田監督は「青学大、駒大の方が正直力はある」と話していたが、直近では「めどが立った。大差はつかない」と強気な発言に変わってきた。
有力校の監督が集まったトークイベントでは、初マラソン日本最高記録で2月の大阪マラソンを制したエースの平林清澄について、「5区起用案」という〝奇策〟をほのめかし、来場者をどよめかせた。前田監督は複数の選手を準備しているといい、「ギリギリまでコンディションを見て決めたい」と話す。
2年ぶりの王座奪還を狙う駒大の藤田敦史監督は「往路は青学大が強い。いかに往路をしのげるか」と話す。駒大は主将の篠原倖太朗、全日本で最終8区で2位の青学大と2分37秒あった差をひっくり返した山川拓馬らエース級の力は十分。今季大学駅伝未出走の大黒柱、佐藤圭汰の復帰も心強い。
今季の駒大は選手層の薄さが課題で、佐藤不在の影響で出雲、全日本と下級生が出走機会を得たことを好材料にしたい。「10人をいかに(万全な状態で)そろえられるか。それができれば勝機は見えてくる」と藤田監督。インフルエンザなどの感染症にも例年以上に気を配る越年になりそうだ。
区間配置の発表は12月29日に行われる。当日変更は往路復路合わせて6人の交代が可能で、1日最大4人となる。29日時点では主力選手を補欠に回すことも考えられる。
各大学の腹の探り合いは例年以上に激しくなりそうな予感をさせる。(石原颯)