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弱点克服のヒントは「スケボー場」 ノルディック複合の渡部暁斗、復活期すシーズンへ

産経ニュース 2024年11月19日 11時0分

ノルディックスキー複合男子の渡部暁斗(北野建設)が、復活を期したシーズンに挑む。冬季五輪3大会連続でメダルを獲得したが、近年は低迷。36歳のベテランはスケートボード練習場で前例のないトレーニングに取り組み、精彩を欠いたジャンプ克服のヒントをつかんだという。

近年苦戦も「体力に不安なし」

「フィジカルの衰えはない」。7日、事前合宿地のノルウェーへの出発前に羽田空港で取材に応じた渡部の言葉は、力強かった。

ここ3季はワールドカップで表彰台から遠ざかり、昨季は個人総合同22位と苦戦が続く。それでも、持久力系の体力テストでは自己最高をたたき出すなど体力面に不安はない。距離では上位勢に引けを取っていないという自負がある。

一方、飛躍は技術のトレンドが移り変わる中で若手に後れを取っていることを実感しているという。「時間をかけて取り組まないと改善できない」。飛躍でしみついた「癖」を拭い去るのは年を重ねれば重ねるほど難しくなるだけに、ベテランならではの課題に直面していた。

スキーの「加速」を理解

苦手のジャンプ克服へ、一つの取り組みを始めた。今春、渡部が向かったのは長野県白馬村のスケートボード練習場だった。

「バート」と呼ばれるハーフパイプ状のコースをインラインスケートで滑り、助走の感覚を養った。バートはスキーのジャンプ台より急な弧を描くため、斜面に対して正確に力を加えられたかがより体感しやすいのだという。

「いいところで加速させないと反対側の壁を登っていけない。(飛躍で)飛んでいく人と飛ばない人の差が今までになかった視点で見られるようになった」とうなずいた。

渡部によると、インラインスケートを使った練習は珍しくないが、「バーチカル(バート)に入っている人はいなかった」。前例のないトレーニングの効果はジャンプ台での練習でも早くも現れているという。「ジャンプ台の方が緩やかになるので圧を感じにくくはなるが、イメージだけは持ち続けてやっていきたい」と話す。

五輪金メダルへ「結果」

「集大成」と渡部自身が位置づける2026年ミラノ・コルティナダンペッツォ冬季五輪に向け、プレーシーズンとなる今季の「結果」が重要になるとの認識を示す。

「警戒されたほうが(距離で)レースペースをコントロールしやすくなるというのを過去の五輪で経験した。狙ってできるものではないが願わくはそういうシーズンにしたい」

25年2~3月に行われるノルウェーのトロンヘイムでの世界選手権が今季の大一番。「まだ個人戦で金メダルを取っていない。五輪で金メダルを目指すという意味では、今年の世界選手権で取れたら、自分にとってはいい材料になる」と青写真を描く。(石原颯)

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