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閑散とした海水浴場、簡易トイレの需要増・・・ 宮崎、巨大地震警戒しながらのお盆突入

産経ニュース 2024年8月10日 19時11分

気象庁が南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)を発表して初の休日を迎えた10日、2日前に震度6弱を観測した宮崎県の海水浴場は閑散とし、ホームセンターでは簡易トイレを買い求める客が目立った。空港では無事を心配していた親族に再会し、喜びあう家族の姿も。旅行、帰省も含めた日常の社会経済活動の継続が呼びかけられる中、警戒しながらのお盆休みが始まった。

「遊泳注意」の黄色い旗

「いつもはビーチパラソルが砂浜を埋め尽くすが、地震の後は例年の1割ぐらいしかない」

宮崎市内にあるサンビーチ一ツ葉海水浴場でライフガードの責任者を務める松田岳さん(25)はこう言って、閑散とした海岸に目を向けた。

地震当日は海水浴客を避難誘導し、自らも海岸から急いで離れた。その後、気象庁が南海トラフ地震臨時情報を初めて発表したのを受け、監視所には「遊泳注意」を示す黄色い旗を掲げた。また、余震に備えて遊泳区域は海岸寄りに設定し、海水浴客をすぐに誘導できる態勢を整えた。こうした対応は当面続けるが、「自然はわからない。軽々に海に来てくれとはいえない」とつぶやいた。

海水浴場を訪れていた40代女性は10日に愛媛県から家族5人で帰省。「余震は心配だが、子供たちが海で泳ぎたいというので来た」と話し、波打ち際で遊ぶ3人の子供たちを見守った。

「直接会えてほっとした」

一方、お盆休み初日を迎えた宮崎空港は、帰省する親子連れや観光客であふれていた。到着ロビーでは久しぶりの再会を喜ぶ家族の姿が見られた。

東京から帰省する孫を待っていた田中節子さん(74)は「地震が心配なので出かけるのを控える。家でおいしいものをたくさん作って食べさせたい」と笑顔を見せた。到着した大学4年の孫、二葉(ふたば)さん(21)は「地震後、おばあちゃんと連絡は取れていたが、直接会えてほっとした」と顔をほころばせた。

夏季休暇で宮崎を訪れた人も。横浜市の会社員、山本雅之さん(56)は、日南市でサーフィンを楽しむつもりで旅行を計画。ただ、南海トラフ地震臨時情報が出ていることを踏まえ、「避難経路などを確認して、安全が確保できれば楽しみたい」と話した。

今も一部で断水

宮崎市のホームセンター「ハンズマン」柳丸店ではこの日、朝から災害対策グッズを求める客の姿が多く見られた。同店では常時、突っ張り棒や非常食など約300種類の災害対策グッズを販売しているが、8日の地震を受けて多くの客が買い求め、完売。その後、注文数を通常の7~8倍ほどに増やし、10日には災害対策グッズ専用の特設売り場を設けた。

本来、お盆前の時期は花や仏具などを求める客が多いというが、副店長の井和丸(いわまる)健司さん(48)は「お盆関連の商品よりも災害対策用品の方が売れている」と話す。

特に売れているのが簡易トイレだ。地震後、店内にあった50個ほどの在庫はすぐに売り切れた。追加発注した簡易トイレを10日午前9時に店頭に並べたが、1時間で約100個売れるなど需要が多いという。

国土交通省によると、今回の地震で宮崎県では日南市や串間市で水道管が破裂、大分県日田市では水源となる井戸水の濁りに伴い取水が停止され、最大120戸が断水。復旧したエリアもあるが、10日午後3時現在、日田市の78戸で断水が続いている。

簡易トイレを買いに来たという宮崎市の女性(70)は、「断水に備えて買いに来た。トイレが使えなくなったら一番困るので、購入できてよかった」と安心した表情を浮かべた。(千田恒弥、木下倫太朗)

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