ノルウェーのノーベル賞委員会は11日、2024年のノーベル平和賞を日本全国の被爆者らでつくる日本原水爆被害者団体協議会(被団協、東京)に授与すると発表した。
主に原爆や被爆者に関することを中心に、平和についての調査・研究を行う広島大平和センターの川野徳幸・センター長(58)にその意味を聞いた。
ロシアによるウクライナ侵略やパレスチナ自治区ガザでの戦闘など、核を巡る国際情勢が緊迫している。そうした中で戦争がいかにむごいものかを世界に伝えてきた日本原水爆被害者団体協議会(被団協)がノーベル平和賞を受賞したことは、広島や長崎の歴史的教訓から核なき世界を目指すべきだという一つの光を改めて国際社会に提示した。
2017年に非政府組織(NGO)「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)がノーベル平和賞を受賞したが、平和活動を行う被爆者らでつくる団体の受賞は初めて。被爆経験を持つ当事者らによる団体の受賞には大変大きな意義があり、核なき世界の実現に向けより強いメッセージを発するだろう。
1974年の佐藤栄作元首相以来、日本のノーベル平和賞の受賞は50年ぶりだ。戦後、平和国家を標榜(ひょうぼう)し、核なき世界を目指してきたわが国だが、今回の受賞で改めて平和国家であり続ける覚悟が問われる。日本という国家にとって、今回の受賞がもたらす責任は重い。(聞き手 木下倫太朗)