川に転落した女性を救助したとして、大阪府警天満署は、大阪市立中之島小中一貫校の小学6年、清田錬玄（れん）さん（12）に感謝状を贈った。目の前で助けを求める女性をみて、とっさに体が動いたという清田さん。15日に同校で行われた贈呈式では、全校生徒約500人から大きな拍手が送られた。
9月4日の下校中、大阪市北区の土佐堀川沿いを歩いていたときのこと。「ぼちゃん」。川に何かが落ちるような大きな音が聞こえた。目を向けると両手で川岸をつかむ30代の女性の姿。
「大丈夫ですか」。呼びかけながら近づくと、「助けて」と声が返ってきた。
「野球で体を鍛えているから、助けられると思った」。小学3年から野球を始め、チームでは投手を務め、腕力には自信があった。当時近くには複数の通行人がいたが、「僕が一番近かったので、助けにいかないと」。使命感でとっさに体が動いた。高さ1メートルほどの柵を乗り越え、川岸から手を伸ばして女性の腕をつかみ、引っ張り上げた。女性にけがはなかったという。
同校体育館で感謝状を受け取った清田さんは「こんな賞をもらうことができて光栄。将来はみんなを元気にできるような野球選手になりたい」と目を輝かせた。
同署の吉村公一署長は「大人顔負けの体力と勇気で人命を助けることができた。勇敢な行動に感謝している」と称賛。そのうえで、救助には危険も伴うことを説明し、「溺れている人を見かけたときは、近くにいる大人への連絡や110番を」と呼びかけていた。（木下倫太朗）