【北京=井上浩平】中国・北京を訪問している関西財界の代表団は25日、現地の政府機関や民間団体の幹部らと懇談し、経済交流の活性化をテーマに意見を交わした。中国の日本に対する短期滞在のビザ(査証)の免除措置再開でビジネス促進に期待がかかるが、代表団からは邦人の安全確保を不安視する声が多く挙がった。
代表団はこの日、中日友好協会の幹部と面会した。日系企業でつくる中国日本商会との懇談では、商会側から現地の人手不足やコスト上昇などで厳しさを増すビジネス環境について説明。同団体が今秋に日系企業8千社に実施したアンケートでは、中国での投資について、「増加または維持」とした回答が56%で、投資意欲が継続していることも報告された。
事業環境を巡っては、9月に発生した広東省深圳(しんせん)市の日本人児童殺害事件や、今月11日に同省珠海市で車が暴走し35人が死亡した事件もあり、駐在員と家族の安全確保が課題となっている。
一行の訪問先の在中国日本大使館などでは、相次ぐ事件の背景について、デフレ経済下での格差拡大などで国民の政府への不満がたまっているとの分析が示された。