南海電気鉄道は30日、2026年4月をめどに鉄道事業を分社化すると発表した。現在の会社は不動産や新規の成長産業などを中心事業とし、新設する子会社が鉄道事業を担う。鉄道中心の事業形態を見直し、異なる事業ごとに迅速に経営判断を下せる体制を構築する。
社名や経営体制は今後検討を進めるが、現在の名称は鉄道事業を担う子会社側が引き継ぐ可能性もある。現在の全社員は約2900人で、このうち鉄道事業に従事する約2400人が新会社に出向する形を想定する。
大阪市内で会見した大塚貴裕常務執行役員は「鉄道に頼らない成長を目指す」と説明。訪日客の増加を背景に足元の業績は好調で「今のうちに次の一手を打つことが必要だ」と述べた。分社化は25年6月に開催予定の株主総会で承認を得て、国の許認可が出た後に行う。
大塚氏は親会社が不動産を担う理由について「沿線人口が減少するなか鉄道中心の事業では成長が見込みにくくなっている。鉄道、不動産双方で経営判断のスピードを上げる狙いがある」と説明した。(黒川信雄)