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<独自>万博「タイプA」の外観 半数は本体10月完成間に合わず 工期圧縮で簡素化も

産経ニュース 2024年10月10日 20時56分

2025年大阪・関西万博の会場建設で、参加各国が独自で設計、建設する「タイプA」パビリオンの外観部分の完成時期を巡り、少なくとも半数の国で、日本国際博覧会協会が要請していた10月中旬に間に合わない可能性が高いことが10日、分かった。協会は来年4月の開幕までの内外装を含む全体の完成を求めているが、工期を圧縮して外観を簡素化するなどの事例もあるとみられ、万博の魅力が薄れることが懸念される。

事情に詳しい建設業界関係者が明かした。タイプAの建設を巡り協会は、会場内の通路などの整備工事などに支障をきたさないよう、各国に10月中旬までに重機を使った外観工事の完了を求めていた。最終的な完成が困難な場合は敷地返還を要請する方針も示し、実際にタイプAを希望していた国は当初60カ国だったが、最終的に47カ国と約2割減少した。

ただ、実際にはタイプA建設を決めた国の多くは10月中の外観完成も厳しいのが実態で、「協会の計画が形骸化しているのが実情」(建設業界関係者)だ。本来は外観工事を10月、内装工事を来年1月に完成させるスケジュールだが「外観、内装の区別も示さず、2月や3月に終わらせるとする国もある」(別の関係者)という。

そのため会場整備を担う大手ゼネコンは、パビリオン建設用の重機が通る通路を確保しながら会場整備を同時並行で進めたり、会場の通路を重機が通っても壊れない仕様にしたりするなどの対応を余儀なくされている。

協会によれば、10月3日時点でもタイプA建設を計画する国のうち2カ国が建設業者が決定しておらず、業者が決まっていても1カ国は未着工の状態という。

タイプAは独自設計、建設であれば複雑な仕様である必要はなく、協会幹部は「タイプAでも、簡単なものなら1カ月もあれば立ち上がる」と強調する。しかし、短期間の工事ほど、デザインなどで独自性の高い建物の建設は難しくなる。(黒川信雄)

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