2025年大阪・関西万博の会場デザインプロデューサーを務め、万博を象徴する大屋根(リング)を手掛けた建築家の藤本壮介氏が11日、関西経済同友会でオンライン講演した。水辺に張り出した大屋根の下を周遊バスが走るように計画を変更した結果、来場者が水辺でショーを楽しめる空間が生まれたことなど万博の舞台裏を語った。
人工島・夢洲(ゆめしま)(大阪市此花区)の万博会場に設置する環状の大屋根は1周約2キロ、高さ最大20メートルで、世界最大級の木造建築とされる。来場者は屋根の上を歩くことができ、会場のパビリオン群や大阪湾の眺望を楽しめる。
藤本氏によると、会場の周遊バスは当初、大屋根の内側の水辺を走る予定だったが、水辺に張り出した大屋根の下を走るようにルートを変更。このため、来場者が水辺に近づき、夜間に噴水やプロジェクションマッピングなどのショーを目の前で楽しめる「水辺の空間」が生まれたという。
リングを木製にした理由として、地球環境への配慮から世界的に木造建築が注目される中、日本は伝統的に木造の建築技術があることなどを挙げた。大屋根の計画公表時は木造であることを打ち出していなかったが、見積もりを出した鉄骨での費用内で木造でも収めることが可能と判断されたことで、木造が実現したことも明らかにした。(井上浩平)