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近距離でも高級な旅楽しんで 鉄道の有料座席サービス、関西で広がる ほぼ満席の人気ぶり

産経ニュース 2024年8月15日 17時21分

関西の鉄道各社が、有料の座席指定サービスを導入、拡充する動きを進めている。阪急電鉄は7月下旬に同社初のサービスを開始し、京阪電気鉄道、JR西日本も車両を増やす。比較的近距離の移動も楽しみたいという、旅行者の希望を取り込む狙いだ。

7月上旬、阪急初の座席指定サービス「プライベース」の報道向け試乗会が京都線で開かれた。専用車両はリクライニングができる広い座席に、高級感のある内装。乗客をサポートするアテンダントも同乗し、車内は快適だった。料金は一律500円で、同21日の本サービス開始以降、車両は「おおむね満席状態が続いている」(同社)という。

他社も有料座席指定サービスを強化する。大阪市中心部と京都方面を結ぶ「プレミアムカー」(料金400~500円)を平成29年から運行する京阪は、来年秋をめどに、プレミアムカーの専用車両を現在の1両から2両に増やす計画だ。JR西も、東海道線を走る新快速の有料座席サービス「Aシート」(同600~840円)を、昨年春のダイヤ改正で1日2往復から6往復に増やした。

サービスの導入について阪急の担当者は「新型コロナウイルス禍以降の着座ニーズの拡大」が背景にあると説明する。他の乗客との距離を保ちながら移動する需要が高まっているという。訪日客需要の増大も要因で、京阪のプレミアムカーの場合、座席占有率は現在「約9割の状況で、時間帯によっては満席になる」(担当者)人気ぶりだ。

鉄道はコロナ禍で在宅勤務が広まったことなどから輸送需要が伸び悩み、今後は沿線人口の減少が見込まれる。大手私鉄関係者は、有料座席サービス導入で「新たな収益源を確保したい思惑がある」と明かす。

関西の鉄道業界に詳しい東洋証券の安田秀樹シニアアナリストは、一部私鉄では「輸送人員が1990年代と比べ、約3割も落ち込んでいる実態がある」と指摘。しかし、通常の乗車料金の引き上げは規制があるため容易ではないことから、「各社は有料座席指定サービスを強化している」と分析している。(黒川信雄)

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