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パナ、低価格家電で中国勢に「逆襲」へ 量販店などのPB家電参入、ボリュームゾーン狙う

産経ニュース 2024年8月31日 17時3分

家電量販店などが低価格のプライベートブランド(PB)で販売する家電の受託製造に、パナソニックホールディングス(HD)が参入する。家電は海外勢との激しい価格競争の末に、国内勢は高級志向の自社ブランドに力を入れ、中国メーカーによる供給が中心のPB家電とすみわけてきた。パナソニックHDは中国勢に「逆襲」をしかける方針に転換し、拡大を続けるPB家電市場に風穴を開けたい考えだ。

パナソニックHD子会社で、家電事業などを担うパナソニックの品田正弘社長は6月の戦略説明会で、国内の白物家電市場での競争戦略の一つとして「流通プライベートブランドへの商品提供の打ち合わせをしている」と明らかにした。同社は参入の時期や品目を公表していない。

日本の家電メーカーは高価格帯のラインアップ強化を成長戦略として掲げてきたが、最大手の一角が普及価格帯で中国メーカーと勝負する姿勢を示したことになる。

ハイアールやハイセンスなどの中国メーカーは、日本市場で自社ブランドの販売だけでなく、PB家電の受託製造で台頭してきた。業界関係者は「洗濯機や冷蔵庫などの白物家電(の製造)は中国メーカーが多くを占める」と話す。

大手家電量販店のビックカメラは令和元年6月からPB家電に本格的に参入した。「オリジナルベーシック」などのブランドでさまざまな家電を展開しており、1人暮らし向けに冷蔵庫や洗濯機、掃除機などのセットを6万円程度の価格帯から提供している。

担当者は「シンプルな使い勝手と安価な価格の両立が、(顧客から)支持をいただいている要因ではないか」と話す。

家具大手のニトリHDは10年以上前に小型の調理家電などで参入し、近年は冷蔵庫やテレビなどの大型家電にも力を入れる。家電メーカーの製品と比べて「おおむね2~3割程度安いものが多い」といい、家具と合わせてトータルコーディネートが可能な点も人気の理由となっている。

ほかにもヤマダHDやエディオンといった家電量販店だけでなく、ディスカウント店のドン・キホーテなど多くの企業がPB家電を扱うようになっている。

こうした中、パナソニックは中価格帯以下の製品で、7年ごろから中国を主な製造拠点に、日本を含むアジア市場向け共通モデルを本格投入する方針を表明。価格競争にさらされてきた市場で反撃に転じる姿勢を鮮明にしている。PB家電への参入もその一環だ。

りそな総合研究所の荒木秀之主席研究員は「物価高騰で安価な商品が求められるだけでなく、(自室での)テレワーク用に2台目の冷蔵庫を買うなどニーズが多様化する中で、PB家電の存在感が高まっているのではないか」と話した。(桑島浩任)

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