阪急阪神ホールディングス(HD)が計画する阪急大阪梅田駅(大阪市北区)周辺の大規模再開発を巡り、計画を主導する阪急電鉄がオフィスや飲食店が入る「阪急ターミナルビル」の超高層化を検討していることが28日、分かった。再開発は2030年ごろの着工を目標とし、梅田を新たな国際交流拠点として発展させる。駅構内は天井を高めて空間を拡張し、改札にも最新技術を導入することを検討している。
梅田周辺の再開発計画を統括する阪急電鉄の上村正美専務取締役が産経新聞のインタビューに明かした。上村氏は大阪梅田駅周辺の再開発計画「芝田1丁目計画」を推進するプロジェクトチームを統括。計画は、同駅とつながる阪急ターミナルビルと、飲食などの店舗が入る「阪急三番街」、「大阪新阪急ホテル」を再開発する。
現在の阪急ターミナルビルの高さは約76メートル。梅田周辺では、今年3月に竣工した「JPタワー大阪」が約188メートル、建て替えが計画される「大阪マルビル」の跡地に建設される新ビルも約192メートルと、超高層ビルの建設計画が相次いでおり、阪急ターミナルビルも同様の開発を検討する。上村氏は「(テナントが入居する)オフィスの需要動向を見定めて判断したい」としている。
ターミナルビルと事実上一体である現在の大阪梅田駅も、一部構造の変更を検討する。上村氏は「現在の天井は低くて暗い。明るく開放的な空間を作りたい」とした。改札設備も「現在、乗車券はICやクレジットカードなどのほか、指輪型、顔認証なども登場しつつある」とし、最新の非接触決済技術を活用し、コンパクトで乗客が駅内外を行き来しやすい改札にする考えを強調した。
上村氏は工事について「利用者に不便をかけないよう、始まればスピード感を持って進めたい。2030年代なかばには完成させたい」と語った。利用客の動線を確保するなどの理由で、3つの施設は「同時にではなく順番に開発されるだろう」とした。
大阪新阪急ホテルは老朽化に加え、付近に同グループが運営する「ホテル阪急レスパイア大阪」が開業したことから、来年1月4日に閉館する。
上村氏が率いるチームは阪急電鉄、阪急阪神不動産などグループ各社から約60人で構成。海外主要駅での歴史的構造物と現代的なシステムの融合などの事例について調査を進めるなど、着工に向けた準備を進めている。(黒川信雄)