性暴力被害者の支援において、国は相談から診療、警察など関係機関との連携まで担う「ワンストップ支援センター」の設置を推進してきた。平成30年に全都道府県に設けられ、昨年12月時点で全国に52カ所ある。
国はワンストップ支援センターを「地域における被害者支援の中核的な組織」と位置づけ、サチコをモデルの一つとしてセンター開設の手引を作成。医療機関や学校、警察などにセンターの周知を呼びかけているが、大半の県などで1カ所にとどまり「必要な支援を受けにくい」と指摘されている。
52カ所を運営形態別にみると、サチコと同様の「病院拠点型」は12カ所▽センターと病院などが連携する「相談センター中心連携型」は37カ所▽センターと病院が近接する「相談センター拠点型」は3カ所。国は公立・公的病院へのセンター設置や提携を含め、関係強化を図るとしている。
令和2年10月から全国共通の短縮番号「#8891(はやくワンストップ)」の運用を始め、最寄りのセンターにつながる態勢を整えた。翌3年10月には国が運営するコールセンターが設けられ、夜間休日に対応できない地域の不安や相談にも耳を傾けている。
全国のワンストップ支援センターに寄せられた相談件数は元年度に4万1384件だったが、5年度は6万9100件まで増えた。(藤谷茂樹)