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震災30年の神戸で「大ゴッホ展」、「夜のカフェテラス」など名品続々 福島、東京に巡回

産経ニュース 2024年7月23日 17時56分

著名な後期印象派の画家、フィンセント・ファン・ゴッホ(1853~90年)の名品を集めた「大ゴッホ展」(産経新聞社など主催)が、令和7年の神戸市立博物館(同市中央区)を皮切りに、福島県立美術館(福島市)、上野の森美術館(東京都台東区)で開催されることが23日、神戸市内で発表された。

来年の阪神大震災30年、再来年の東日本大震災15年という節目の年に取り組む事業で、オランダのクレラー=ミュラー美術館が所蔵する名品を2期に分け、それぞれの会場で展示する。

第1弾の目玉は約20年ぶりの日本公開となる「夜のカフェテラス」。神戸市立博物館で令和7年9月20日に開幕し、8年2月1日まで開催された後、福島県立美術館を回り、5月29日から8月12日に上野の森美術館で開催される。「自画像」や初期から全盛期のアルル時代までの作品に加え、モネやルノワールら印象派の画家たちの作品も展示される。

第2弾は約70年ぶりに来日する「アルルの跳ね橋」が注目作品。9年2月から5月まで神戸市立博物館で開催後に福島県立美術館を巡回、10月から10年1月まで上野の森美術館で開かれる予定。

記者会見した神戸市の久元喜造市長は「文化・芸術が震災後の市民を勇気づけた。とりわけ若い世代にゴッホ作品に親しんでもらいたい」と話した。

名作への期待、届けたい勇気

令和7年から神戸、福島、東京で開かれるフィンセント・ファン・ゴッホ(1853~90年)の作品を集めた「大ゴッホ展」(産経新聞社など主催)。日本にやってくる名作の数々には大きな期待とともに、希望が寄せられる。

作品を所蔵するオランダのクレラー=ミュラー美術館は、ゴッホ作品の所蔵数では世界有数。美術館から8年前に依頼を受け、増築の設計を担当している建築家の安藤忠雄さんは、「『夜のカフェテラス』が来るんですか。あの絵はゴッホの人生の全てを語っているように思えます」と目を輝かせ、「ゴッホは命の全てを絵にかけた男。その絵には彼の夢と希望が輝いている。人間の心に光をともす、インパクトのある作品です」と語る。

美術作品の中の人物に扮したセルフポートレートを発表し続ける美術家の森村泰昌さん。最初に発表した作品はゴッホの自画像だった。「ゴッホは初期から晩年までいろいろな試みをした。今回は初期の農夫などを描いた絵にも期待しています」と話す。

展覧会は来年の阪神大震災から30年、再来年の東日本大震災から15年という節目に合わせての取り組みだ。記者会見で神戸市の久元喜造市長は「震災からの復興は困難な道だったが、その中でもさまざまな芸術活動が行われた。30年という年に、芸術に触れる機会を提供することは意義がある」と語った。

クレラー=ミュラー美術館のベンノ・テンペル館長も「ゴッホは困難に満ちた人生を送ったが、芸術によって問題に立ち向かい、継続する力を見いだした。日本の人々に元気と勇気を届け、未来に向けてより輝くための原動力となることを目指します」とビデオでメッセージを寄せた。

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