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ゆるゆる視点が気持ちいいユーロヴェロ イマドキTV+

産経ニュース 2024年9月7日 8時30分

朝起きるとニュースをつけて、7時半になったらNHKBSにチャンネルを合わせ、連続テレビ小説(朝ドラ)を見る。だいたいそれが日課だけど、このところ、続けて見ているのが「自転車旅ユーロヴェロ90000キロ」という番組だ。

ユーロヴェロというのは、欧州全土を16の長距離自転車道で結ぶ壮大なプロジェクトで、全長9万キロに達するそうだ。その道をたどる旅番組を15分ずつ見せてくれるミニ版で、毎日少しずつ行程を追いかけるのが楽しい。

今週放送していたのは「EV1」というルートを使って、スペインのアンダルシア地方からポルトガルのリスボンを目指す旅だった。

出演しているサイクリストは、ベルリン在住のユーチューバー、AKIRAさん。素直な好青年という印象で、変にキャラを押し出したりしないのがいい。笑顔を絶やさず、あちこちの人や風景と、軽やかに一期一会を繰り返す。かなり旅慣れているとみた。

撮影スタッフも自転車(一部はスクーター)に乗って、彼の旅を追いかける。通りかかった土地のことも紹介されるものの、深く掘り下げたりはしない。自転車が故障したり、道が途中で草に埋もれていたりと、ささやかなドラマも起きるけれど、大げさな演出はなし。路上の日々を淡々と記録している。

何台もカメラを駆使して、表情をアップにしたり、ペダリングする足を捉えたり、あるいはドローンで俯瞰(ふかん)したり、映像はいろいろと工夫されている。だけどオーソドックスながら、AKIRAさん視点の映像が一番味わい深い。走っている気分を味わえるからだ。

それで分かったのが、自分がなぜ自転車旅を好きなのか。景色が流れる速度が気持ちいいのだ。もちろん歩くほうが風景は堪能できるけれど、ちょっと疾走感もほしい。ただし、速すぎると疲れちゃう。ゆるゆると景色が変わるのが最高。

最近自転車で遠出してないなぁ。旅に出たくなってきた。(ライター 篠原知存)

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