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「僕が受けていいのかな」文化功労者に文楽人形遣い・吉田和生さん 正しく次世代につなぐ

産経ニュース 2024年10月25日 11時40分

政府は25日、令和6年度の文化勲章を贈る7人と文化功労者に選んだ20人を発表した。文化功労者に選ばれた人形浄瑠璃文楽の人形遣い、吉田和生さん(77)が取材に応じ、喜びを語った。

師匠で人間国宝だった吉田文雀(よしだ・ぶんじゃく)さんの舞台映像を最近よく見る。「やっぱりうまい。その師匠もいただいていない文化功労者を僕が受けていいのかな、とちょっと考えました」と戸惑い交じりに喜びを語る。

現役では最高位の人形遣い。抑制的な遣い方の中に役の情や品格を描き出し、「仮名手本忠臣蔵(かなでほんちゅうしんぐら)」の塩谷判官(えんやはんがん)や、「伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)」の政岡など、立役(たちやく=男性の役)から女方まで持ち役は幅広い。

伝統工芸への興味から文楽人形を作る職人を訪ねた縁で文雀さんに弟子入り。「人形遣いは(舞台で)しゃべらなくていいし、面白いかなと思った」。平成29年に人間国宝に認定されたが、「まだ『面白い』まではいけていない」と芸の奥深さを率直な言葉で語った。

大役を勤めるときは体力的に「これが最後かな」と覚悟するようになった。「ここからは若い人たちにいかにつなげていけるか。先人たちが作り上げたものを正しく次の世代に伝える、僕はその間に関わるだけです」。伝統芸能の継承者としての矜持がにじんだ。(田中佐和)

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