神戸須磨シーワールド(神戸市須磨区)のアクアライブ1階に設置されている「外洋水槽」は頭上まで広がり、海の中にいるような没入感を感じることができる。目玉はトラフザメやナースシャークなど6種のサメだ。サメには他の魚などを食べる肉食型もいるが、飼育員によると、サメの空腹感が満たされる状態に維持して生き物を襲わないよう工夫しているという。
このサメの中に「ツマグロ」という種がいる。名前からマグロの種類と勘違いされやすいが、体の特徴がその名の由来だ。ヒレの先端が黒く、端を表す「つま」が黒いことからつけられたそうだ。
ツマグロは全長約1・5メートルで、水槽の水面から底まで自在に泳ぎ、オス1匹とメス3匹が飼育されている。サメに詳しい魚類展示課の赤松尚美さんは〝サメらしい〟特徴的な見た目から子供にも人気で、「速く自由に泳ぎ、見た目もかっこいい」と話す。
なぜヒレの先端が黒いのか。赤松さんは「カウンターシェーディング」の1つと考えられていると解説する。カウンターシェーディングとは、動物の体表の日陰になる部分が明るい色に、光の当たる部分が暗い色になることを指し、迷彩(カムフラージュ)の一種とされる。
ツマグロのヒレの先端が黒くなっているのも、体の輪郭をぼかし周囲になじませることで、他の魚などから認識されづらくなる役割を果たしているという。
赤松さんはツマグロが外洋水槽の「推し」だといい「サメらしく堂々と泳ぐ姿をぜひ見てほしい」と話した。(西浦健登)