Infoseek 楽天

大阪・泉大津市長選で垣間見えた選挙の新しい潮流 記者ノート from 湊町

産経ニュース 2025年1月11日 8時0分

昨年は選挙の年であり、新しい潮流が如実になった年でもあった。衆院選や都知事選、兵庫県知事選などで話題になった交流サイト(SNS)からの情報を中心にした投票行動だ。

昨年12月の大阪府泉大津市長選の街頭演説のときだった。演説が始まる1時間ほど前に駅前に着くと、最初の〝異変〟に気付いた。演説の予定場所に合わせ新聞やテレビのカメラが事前に場所取りをするのが一般的だが、この日の前列は報道関係ではない人たちが三脚を並べていた。候補者陣営に加え、ユーチューバーなど個人で情報発信する人たちのようだった。

想像していた以上の群衆に交じって演説を聞こうとすると、隣の女性がスマートフォンで撮影を始め「これから泉大津市長選の演説が始まりまーす」と話し出した。「〇〇さん、こんにちは」「□□さん、よろしくおねがいします」などと画面とやり取りを繰り返す。ライブ中継を配信しているのだ。

また候補者の一人は「2ショット写真整理券」を配っていた。候補者は演説終了後、市民と握手するのが通例だが、いまは2ショット写真を撮影するようだ。記者も整理券をもらってみたが、400番台。撮影は1人1分として、いったい何時間掛かるのだろう。

人口7万人余りの地方の首長選挙でも垣間見えた新しい潮流。新聞など〝オールドメディア〟はこうした流れにどう対応していくべきなのか。考えさせられることの多い師走の選挙だった。(中野謙二)

この記事の関連ニュース